「傷病手当金」と「失業保険」は、同時にもらえません――。
でも切り替えの順番とタイミングさえ押さえれば、収入の空白を最小限に抑えることは可能です。
本記事では、退職前後にやるべき手続き、延長申請の使いどころ、やりがちな勘違いまで、初めてでも迷わないように道筋を一気に整理します。
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同じ期間に傷病手当金と失業保険「同時受給」はできません。(制度の趣旨と要件が相反)
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働けない期間は健康保険の「傷病手当金」、働ける状態に回復したら雇用保険の「基本手当(失業保険)」を受給するのが原則。必要に応じて受給期間の延長で失業保険を後ろにずらせます(最長4年以内)。
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失業保険の手続き後に15日以上就業不能になったら、雇用保険側の「傷病手当(雇用保険)」へ切替可(健康保険の傷病手当金等と重複不可)。
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傷病手当金と失業保険は同時受給できないのか
傷病手当金(健康保険)は「病気・けがで労務不能であること」が要件。
失業保険(基本手当・雇用保険)は「就職可能な失業状態」が要件。
→ 片方は「働けない」、もう片方は「働ける」前提なので同じ期間に両方は成り立たない、という整理です。
まず押さえる基礎:支給要件・金額・期間の比較
傷病手当金(健康保険)
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要件:業務外の病気・けがで労務不能、連続する3日間の待期成立、休業期間に賃金が出ない(出ても減額分のみ支給)。
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金額:標準報酬日額×2/3(端数処理あり)。
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期間:支給開始日から通算1年6か月。
失業保険(基本手当・雇用保険)
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要件:離職後、就職可能で求職活動を行っていること(待期7日、場合により給付制限あり)。
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「病気などで30日以上就業不能」のときは受給期間の延長が可能
雇用保険の「傷病手当」(※健康保険の傷病手当金とは別制度)
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失業保険の手続後に15日以上働けないとき、基本手当の代わりに同額水準が支給。
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ただし、健康保険の傷病手当金等と重複不可/待期・給付制限期間は対象外。
傷病手当金→失業保険へ切り替える流れ
タイムライン(例)
手順
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療養中は傷病手当金を継続
退職する場合は、退職後も継続受給できる条件(①被保険者期間が通算1年以上、②退職日前日まで連続3日以上の休業+退職日は出勤なし、③同一傷病で引き続き労務不能)を満たしているか確認。 -
治癒・就労可能になったら、ハローワークで求職申込み→失業保険(基本手当)へ。待期7日ののち認定サイクルへ。
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失業保険の受給期間は原則「離職日の翌日から1年」だが、療養で就活できない期間は延長申請で後ろにずらせる(最大+3年=合計4年まで)。
失業保険の手続き後に体調を崩したら?
受給手続き後に15日以上働けない状態になれば、雇用保険の「傷病手当」に切替(基本手当は停止)。
健康保険の傷病手当金や労災の休業給付等と同時受給は不可。回復したら基本手当に再切替。
失業保険の「受給期間延長」のやり方(最大4年まで)
対象:病気・けが・出産等で引き続き30日以上就業できない場合など。
申請期限:原則、該当後できるだけ早く(延長後の受給期間の末日まで申請可だが、遅いと所定日数を消化しきれない恐れ)。
延長できる期間:本来の1年+就業不能の期間(最長3年)=最大4年。
手続きチェックリスト
A. 退職後も傷病手当金を続けるとき(健康保険の窓口)
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退職時点で上記3条件を満たしていることを確認(証明書類・医師の意見書)。
B. 失業保険の受給期間延長(ハローワーク)
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提出先:住居地を管轄するハローワーク。
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必要書類:
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受給期間延長申請書
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離職票-2(申込前の場合)/雇用保険受給資格者証(申込後の場合)
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医師の診断書等の証明書類(就労不可・可の別)
※郵送や代理申請可(要委任状)。
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C. 失業保険の再開(療養後)
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延長解除の申出+医師の就労可能証明等を提出→求職申込み・認定→基本手当開始。
よくある誤解・落とし穴Q&A
Q1. 傷病手当金と失業保険は同時に受け取れる?
A. 不可。要件が逆で、制度間でも重複受給は認められていません。
Q2. 傷病手当金の待期は?
A. 連続3日の待期成立が必要。4日目以降が支給対象。
Q3. 退職日だけ出勤したら退職後の継続受給は?
A. 不可になる可能性大。退職日前の連続3日休業+退職日出勤なしが条件。
Q4. 失業保険の待期・給付制限中は雇用保険の傷病手当は?
A. 支給対象外(待期7日・給付制限期間は不可)。
Q5. 出産手当金との関係は?
A. 出産手当金が優先し、その期間の傷病手当金は支給停止(内払い扱い)。
どっちが得?(概算の出し方)
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傷病手当金(健康保険)
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1日あたり=標準報酬月額の平均 ÷30 ×2/3
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月額目安=上記×支給日数(30日等)
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例:標準報酬月額28万円 → 日額約6,220円 → 30日で約186,600円(概算)
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失業保険(基本手当)
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年齢・賃金日額・所定給付日数で変動(本稿では省略)。
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働けない間はそもそも受給できないため、療養が長引くなら先に傷病手当金+受給期間延長が定石。
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目安:「療養が長引く」=傷病手当金を優先、「すぐ働ける」=失業保険へ。途中で状態が変わったら、延長・切替で調整。
最短ルートまとめ
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同時受給:不可。
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おすすめの流れ:
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働けない → 傷病手当金で生活を支える。
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働ける状態になったら → 受給期間延長を解除し、失業保険(基本手当)を開始。
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例外対応:失業保険の手続き後に15日以上働けなくなったら、雇用保険の傷病手当へ切替(健康保険の傷病手当金との重複不可)。
仕上げのチェックリスト(コピペ可)
退職後も傷病手当金を続ける3条件を満たす(1年以上の被保険者期間/退職日前3日以上休業+当日出勤なし/同一傷病で継続療養)。
失業保険は受給期間延長を申請(最長+3年、合計4年)。
回復したら就労可能証明等を持参し、延長解除→求職申込み・認定。
「待期」や「給付制限」など期間の穴に注意。
迷ったら、傷病手当金の継続要件と受給期間延長の締切をまず確認。ここを押さえると手戻りがグッと減ります。