「自己都合で20年働いたら、退職金はいくらが“ふつう”?」——いざ現実に直面すると、多くの人がここで足を止めます。
実は、退職金は“ひとつの相場”で語れません。学歴や役職、そして最も差が出るのが企業規模と自己都合・会社都合の別。
中小企業のモデルでは自己都合・勤続20年で300万円前後がひとつの目安。
一方で大企業では倍近い水準になるケースも珍しくありません。さらに、世間で語られがちな「平均」は見つかっても、分布の真ん中を示す「中央値」は公的統計にほぼ出てこないのが実情です。
本記事では、ブレやすい数字を“使える指標”に落とし込み、あなたの会社での妥当ゾーンを素早く見極める視点をまとめました。
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中小企業の平均額(都のモデル退職金から具体値)
東京都の「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」に掲載のモデル退職金(標準者)では、勤続20年・自己都合のモデル額は以下の通り(単位:万円)。
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高卒:272.9
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短大・高専卒:292.4
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大学卒:343.1
同表の会社都合は、高卒:328.4/短大高専:346.5/大卒:414.7 と上振れします。この“差”がそのまま自己都合の目安を下げる主要因です。
このモデルは都内従業員10~299人の中小企業を対象とした標準的な昇進パターンでの試算です。あなたが地方・業種特化・役職加点あり等なら上下にブレる前提で見てください。
大企業の水準(参考レンジ)
中央労働委員会の調査を基にしたまとめでは、大学卒・総合職相当の自己都合・20年が約761万円、会社都合・20年が約1,021万円と紹介されています。
中小企業との差は大きく、規模要因は無視できません。
「中央値」は公表されている?—入手可否と現実的な見方
公的統計(都のモデル、厚労省・中央労委の公表値)では、勤続年数別・自己都合の“中央値”は原則として示されていません。
公開されるのはモデル(標準者)や平均的な水準(学歴・職種別)で、分布の中心(中央値)は把握しにくいのが実情です。
したがって、実務上は「モデル退職金≒目安の中心値」として参照されることが多いです。
正確な中央値は、各社の退職金データ分布や労使協定の支給実績が必要で、外部からは原則入手できません。
会社ごとの差が出る理由(制度・学歴・役職・企業規模)
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制度方式の違い:ポイント制・定額制・基本給×係数(支給月数)制などで結果が大きく変わります。
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学歴・職種・役職加点:大卒・総合職や管理職年数に加点があると20年時点での開きが拡大。
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企業規模:大企業は総じて高水準、中小企業は都モデルのレンジが実務的な物差し。
自分の見込み額を5分で見積もる手順
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就業規則・退職金規程を確認
「自己都合」「勤続20年」の支給係数(○か月分/ポイント)のページをチェック。係数表がない場合はモデル退職金早見表を参照。 -
方式別に計算
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月数(係数)制:
例)基本給30万円×自己都合の支給月数(例:18か月)=540万円。
支給月数は自己都合の方が低いのが普通。 -
ポイント制:
例)勤続ポイント+役職ポイント合計×単価×自己都合係数(例:0.8)。
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モデルと照合
計算値が都モデル(中小)や大企業レンジから極端に外れていないかチェック。-
中小・大卒・自己都合・20年なら約340万円前後が一つの物差し。
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特殊要因を加減
役職在籍年数、資格給、在籍中の制度改定(マイナス・プラス改定)を反映。
ついでに確認:自己都合と会社都合の差、税の取り扱い
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同じ20年でも「会社都合>自己都合」が通例。都モデルでは大卒で約343万円→(会社都合)約415万円。差は約70万円。
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税金:退職金は退職所得控除があるため、課税負担は軽くなりがち(例:20年なら控除額は800万円:40万円×20年)。実際の税額は支給総額や他の条件で変わるため、源泉徴収票・住民税通知で要確認。※税率・控除の細目は最新の税務情報をご確認ください。