毎朝の満員電車が怖い。PCの前に座るだけで動悸がする。そんなサインが続いたら、いちばん大切にすべきは「仕事」ではなく、あなたの心と暮らしです。
この記事は、うつ・適応障害など“病気を理由に退職”する人のために、診断書の扱いから退職日の決め方、退職後の公的手続きまでを一気通貫で解説します。
法律上の「2週間ルール」を踏まえたスケジューリング、傷病手当金を不利にしない退職日の置き方、雇用保険の“延長→回復後に申請”という王道、20日以内の任意継続など、つまずきやすい論点を実務目線で整理。
難しい交渉や専門用語は最小限に、体調を守りながら損をしないための「最短ルート」を示します。
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鬱退職の標準タイムライン
ゴール:安全に休む → 生活費をつなぐ → 法定期限を落とさない。
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心療内科・精神科で受診(初診)
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診断書の発行(就労不可 or 休養要す など)
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会社へ「病気による退職の意思表示」※通常は書面
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退職日を確定(原則、申入れから2週間後で可。就業規則で1か月前でも、法律上は2週間で退職可能)
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健康保険の傷病手当金の要件確認・申請(退職後も継続可の条件あり)
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社会保険の切替(任意継続 or 国保)※退職日の翌日から20日以内が任意継続の期限
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年金の種別切替(第2号→第1号)を市区町村で手続き
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離職票受領 → 雇用保険は「今働けるか」で手順が分岐(病気で働けない間は受給期間の延長を申請:最長+3年)
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住民税の支払い方法を確認(普通徴収・一括徴収・継続)
診断書の基本:いつ・誰に・どこまで見せる?
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診断書は“法律上の一律の提出義務”はありません。ただし、休職の運用や各種給付の審査で求められることはあります(就業規則や実務)。提出を求められたら、目的(休業の確認等)に必要な範囲での利用・取扱いに限定されるべきです。
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会社への提示は最小限の情報で十分。病名の開示に抵抗があれば、「就労困難・要休養」等の所見中心の記載を医師に相談しましょう(個人情報保護・目的外利用の禁止の観点)。
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書いてもらうコツ
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受診時に「職場での困りごと」「症状でできない作業」をメモして持参
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希望する文言(例:「当面就労不可」「●年●月●日まで休養要す」)を相談ベースで
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提出先:人事・総務など取扱者を限定してもらう/コピー提出・原本返却の運用が望ましい(社内規程で管理)。
※医師は診察に基づき原則として診断書を交付できます(医師法の趣旨)。ただし医学的に正当な理由がある場合は例外あり。
退職の切り出し方と「退職日」の決め方
退職意思の伝え方(実務)
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文書(退職届)を用意
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直属上司 → 人事へ共有が一般的(社内ルールに従う)。
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引継ぎは可能な範囲でメモ化(無理はしない)
法的な基準
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期間の定めのない雇用は退職の申入れから2週間で終了(民法627条)。就業規則の「1か月前」等より法律が優先します。会社の同意がなくても成立します。
傷病手当金を意識した「退職日の置き方」
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退職後も傷病手当金を継続するには、概ね次のポイントが重要:
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退職日の前日までに継続して1年以上の被保険者期間がある
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資格喪失時(退職日)に受給中または受給要件を満たしている(退職日に出勤すると不可)
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同一傷病で労務不能が継続している
→ 退職日に出勤しないことが特に重要。
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各協会けんぽの案内や解説資料でも同旨(条件の具体例あり)。
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退職前に必ずやる公的手当のチェック
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健康保険:傷病手当金(標準報酬日額の2/3相当。最長1年半の範囲で通算)
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退職後も継続給付の可能性あり(前項参照)。
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雇用保険
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病気離職は「特定理由離職者」の扱いになり得ます。給付制限(待期後の2〜3か月の無給期間)が原則なしで、条件を満たせば早期に支給開始。※判断はハローワーク。
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退職後30日〜20日以内にやること(期限がシビア)
① 健康保険の任意継続(希望者のみ)
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退職日の翌日から20日以内に申請。被保険者期間2か月以上が条件。国保と保険料比較して選択。
② 国民年金の種別変更(第1号へ)
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退職日(資格喪失日)に応じて即日第1号へ切替。市区町村で手続き。
③ 離職票の受領
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郵送でも可。到着次第、雇用保険の「受給期間延長」または基本手当申請の判断へ(次章)。
雇用保険:病気なら“延長申請→治ってから申請”が王道
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失業給付(基本手当)は「就職できる状態」が前提。療養中で働けないなら、離職の翌日から30日経過後、速やかに受給期間の延長を申請します(最長+3年、合計最長4年で受給可能)。
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対面が難しければ代理申請可(各労働局案内参照)。延長後、就労可能になってから求職申込み→基本手当の受給へ。
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病気離職が特定理由離職者と判断されれば、給付制限なし(待期7日後に支給開始)。
住民税・年金の実務:払い方・切替の注意点
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住民税
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1~4月退職:原則、5月分までを最終給与/退職金から一括徴収(不足分は後日普通徴収)。
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6~12月退職:原則、普通徴収(納付書で自分払い)に切替。一括徴収を選ぶことも可。
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次の会社が決まっていれば特別徴収を継続できる場合もあり。詳しくは人事へ。
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年金
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退職日に応じて第2号→第1号へ切替(失念しやすい)。
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業務が原因かも?と思ったら(労災・パワハラ・カスハラ等)
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業務による強い心理的負荷が要因の精神障害は、労災認定の対象。
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2023年9月に認定基準が改正され、カスタマーハラスメントや感染リスクの高い業務が評価表に明記、パワハラの具体例拡充など。労災の可能性があれば早めに記録・証拠(メモ、勤怠、メール、診療録の経緯)を集め、労基署や社労士・弁護士に相談を。
よくある落とし穴Q&A
Q. 退職日まで出勤した方が良い?
A. 傷病手当金の継続給付を狙うなら、退職日に出勤しないことが条件に関わるため注意(詳しくは前章)。無理は禁物。
Q. 診断書に病名は必須?
A. 目的(休業の確認等)に必要な範囲で記載。個人情報は目的外利用NG、取扱者の限定が望ましい。医師と相談し、所見中心の書式も選択肢
Q. 会社が「1か月前申告」と言って辞めさせてくれない…
A. 法律上は2週間で退職可能。書面で意思表示を残す。体調最優先で。
Q. 次の仕事が決まっていない。雇用保険は今すぐ?
A. 療養で働けないなら受給期間延長→回復後に基本手当申請が無難。
チェックリスト
A. 退職前
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心療内科・精神科を受診し、就労可否が分かる診断書をもらう
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退職届(病気理由・提出日・退職日記載)を作成・提出
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傷病手当金の受給要件確認:1年以上加入/退職日出勤なし/労務不能継続
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引継ぎノート(できる範囲)・貸与品返却リスト
B. 退職日直後(期限注意)
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健康保険 任意継続の検討・申請(退職日の翌日から20日以内)
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年金 第1号への切替手続き(市区町村)
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離職票の受領
C. 30日経過後〜療養中
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雇用保険 受給期間延長の申請(最大+3年)
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住民税の支払い方法を確認(普通徴収の納付書 or 一括徴収)
D. 回復後
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ハローワークで求職申込み→基本手当申請
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病気離職が特定理由離職者と判断されれば給付制限なしを確認