「うつ病で退職したら、次の転職は不利になるのでは?」——そんな不安を抱えたまま求人票を眺めていませんか。
結論、失業手当の受給や病歴そのものは“自動的に不利”ではありません。
大切なのは、いま働ける状態か/どんな配慮があれば力を発揮できるかを、面接で簡潔かつ前向きに伝えること。
本記事では、答えてよい範囲・言い換え例・配慮の伝え方・手続きの落とし穴まで、実務で使えるテンプレート付きで解説します。
ブランクがあっても大丈夫。再発防止策と貢献ストーリーを言語化すれば、あなたの強みは採用側にきちんと届きます。
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失業手当(基本手当)を受給した事実は、転職で原則不利に直結しません。 企業は職務適性・能力に基づく公正な採用選考が求められ、病歴など職務と無関係な質問や把握は慎むべきとされています。
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面接でうつ病歴を必ず開示する義務はありません。 ただし、配慮(勤務時間・通院など)を希望する場合や、健康診断・就労可否の確認が必要な職種では、合理的配慮の観点から必要範囲で説明するのが安全です。
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療養中は失業手当は受けられません。 就労可能になってから受給、もしくは受給期間延長や(雇用保険の)傷病手当の仕組みを活用します。健康保険の傷病手当金と失業手当は同時併給不可です。
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病気等やむを得ない理由の離職は「特定理由離職者」となり、給付制限(自己都合の待機後の制限)が免除される取り扱いがあります。
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不利になるの?企業の採用基準と「聞いてはいけないこと」
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日本の採用実務では、職務遂行に必要な適性・能力に基づく選考が基本です。病歴や信条、家庭環境など職務と無関係な事項の把握や質問は就職差別につながるおそれがあり、国が周知しています。厚生労働省+1
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よって、「失業手当を受け取っていた」「うつ病で退職した」こと自体が自動的に不利になるものではありません。評価されるのは現在の就労可否、再発防止策、成果・スキルです。厚生労働省
ただし、配慮が必要なのに一切伝えないと、入社後のミスマッチや不利益(配慮を受けられない)が生じます。配慮希望がある場合は、必要最小限の事実+具体的な働き方の提案を準備しましょう。Indeed
失業手当・傷病手当金の基礎:療養中と就労可能時の取り扱い
失業手当(基本手当)は「いつでも就職できる状態」が前提。 病気療養で働けない間は受給できません。
働ける状態になってから手続きするか、受給期間延長を利用します(最大1年+最長3年延長=合計最長4年の枠組み)。
健康保険の傷病手当金は療養による収入減を補う制度で、失業手当と同時併給は不可。
一般に「療養中は傷病手当金→回復後に失業手当」という順番が王道です。
「特定理由離職者」なら給付制限ナシになることも
病気等のやむを得ない事情で離職した場合、「特定理由離職者」に該当し、自己都合でも給付制限が免除されます(待期7日後、比較的早期に支給開始)。
詳細判断はハローワーク。
面接での伝え方:オープン/クローズの判断軸と回答テンプレ
判断の目安
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配慮不要・就業に支障なし:基本はクローズ(伝えない)で可。質問された場合も、職務適性に関わる範囲で現状のみ回答。
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配慮が必要(通院時間・残業制限等):オープン(必要事項のみ開示)し、合理的配慮の具体像を自分から提案。面接同席等の支援も選択肢。
回答テンプレ(そのまま使える例)
Q. 前職の退職理由は?
A.「業務量と働き方のバランスが合わず体調を崩したため、いったん休養し現在は医師の管理下で再発防止策も整い、就業可能です。前職で培った〇〇の経験を活かし、貴社では△△で貢献したいと考えています。」(否定よりも再発防止策と貢献意欲を前面に)
Q. 体調面は問題ない?
A.「就業可の状態で、定期通院は月1回・就業時間外で対応可能です。**ストレス対処計画(例:業務可視化・早期相談)**を実践し、前職では生産性を〇%改善した経験があります。」(現在の就労可否+運用策に限定)
Q. 配慮が必要?
A.「繁忙期の連続長時間残業は避けたい一方、事前申告のうえで増員・タスク再配分が可能なら目標達成に支障なしです。在宅併用が月○日あると安定します。」(具体・測定可能・業務影響を明示)
NG例
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病名・治療歴の詳細を冗長に語る(職務無関係)。
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「前職が悪い」等の悲観的な表現のみで再発防止策がない。
履歴書・職務経歴書の書き方(ブランク・通院の扱い)
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ブランクは「療養のため一定期間休養/自己研鑽」と簡潔に。回復後の学習・資格・ポートフォリオで埋める。
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病歴欄の記載を強制する様式や質問は、公正採用の趣旨に反します。職務適性に関わる範囲のみ記載・回答でOK。
転職活動の始めどきと悪化防止のコツ
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症状が安定してから着手が原則。焦りは再発リスク。面接は短時間×複数日に分散、在宅面接の活用も。
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入社後の再発防止策(業務量の可視化、定期1on1、通院確保、在宅比率)を「自分が主体で運用できる」形に落とす。合理的配慮の選択肢も事前に洗い出し。
手続き実務:受給期間延長・傷病手当・必要書類チェックリスト
受給期間延長(雇用保険・基本手当)
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前提:離職後1年以内に30日以上働けない期間が続く見込み。
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申請先:住所地のハローワーク(郵送・代理可の取扱いあり)。
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申請タイミング:原則早め。延長後の受給期間の最後の日まで申請可(遅いと全日数消化できないリスク)。
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必要物(例):離職票、本人確認書類、印鑑、医師の証明など。
傷病手当(雇用保険の取扱い)
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30日以上疾病で職に就けない期間は、傷病手当の認定・申請が必要。他法令による類似給付との重複不可。
健康保険の傷病手当金との順番
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療養中は傷病手当金(最長1年6か月)→就労可能後に失業手当が基本。退職後も継続可能な場合あり(加入要件等は健保に確認)。
よくある質問
Q1. 面接で「病歴は?」と聞かれたら?
A. 職務関連性が薄い質問は慎むべきとされています。現状の就労可否・配慮要否に簡潔に切り替えて回答すれば十分です。
Q2. 内定後の健康診断で病名は伝える?
A. 就労可否や配置決定に必要な範囲の情報提供が基本。配慮が要る点は具体化して共有するとミスマッチが減ります。
Q3. 障害者雇用(オープン就労)を選ぶべき?
A. 希望する配慮の程度・安定性・職務内容で選択。面接同席や配慮例が制度上想定されています。
チェックリスト
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いま就労可能か(医師と確認/再発防止策を言語化)
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受給の順番設計(療養中=健保の傷病手当金/回復後=失業手当)
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受給期間延長の手続き(遅延リスクに注意)
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特定理由離職者の該当確認(給付制限免除の可能性)
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面接回答テンプレを準備(事実最小+再発防止+貢献)
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配慮が必要なら具体提案(通院・残業・在宅など)
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公正な採用基準の理解(職務無関係事項は慎む)