退職金の明細は、人生の節目に手元へ届く“最後の給与明細”です。けれど、項目名が会社ごとに違ったり、税金の計算が給与と別ルールだったりして、どこを見て何を確かめれば良いのか迷いがち。
この記事では、退職金明細の項目の意味から税計算(退職所得控除/1/2課税/20.42%の仮源泉)、そしてチェックの手順やよくあるミスの回避策まで、最短ルートで理解できるよう丁寧に解説します。
読み終える頃には、「自分の明細が正しいか」「手取りはいくらになるのか」を自分で検算できるはず。
損しない・モレない・迷わないための保存版ガイド、今すぐ一緒に確認していきましょう。
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退職金明細は、次の5点を押さえれば怖くありません。
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勤続年数は端数切上げで計算されているか
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退職所得控除の金額が公式どおりか
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(一般)1/2適用/(特定役員等5年以下)不適用の判定が正しいか
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「退職所得の受給に関する申告書」の提出有無と、未提出時の20.42%仮源泉の扱い
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住民税の特別徴収が適切か(社会保険料は退職一時金に不課)
ここまで整えば、手取り額の見通しと必要な手続きがクリアになります。
もし明細に違和感があれば、勤続年数・控除額・1/2の可否・申告書の扱いのいずれかで要因が見つかることがほとんど。
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そもそも「退職金明細」とは?
会社から支給される退職金(一時金・退職手当など)の内訳、控除、課税計算、最終手取り額をまとめた書類です。
税金(所得税・復興特別所得税、住民税)の扱いが給与と違うため、明細で計算根拠を確認することが超重要です。
退職所得は他の所得と切り離して課税(分離課税)され、通常は源泉徴収で完結します。
退職金明細の主要項目と意味
会社ごとに呼称は異なりますが、基本は以下でカバーできます。
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支給欄
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基本退職金/退職手当:就業規則・退職金規程に基づく本体部分。
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勤続加算・功労加算・早期退職加算:規程や募集要項に従う加算。
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企業年金からの一時金(確定給付・確定拠出の移換一時金など):別枠で表示されることも。
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控除欄
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所得税・復興特別所得税:退職所得として源泉徴収。申告書提出の有無で計算が変わります(後述)。
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住民税(市区町村民税・都道府県民税):退職所得分は「特別徴収」で退職時に差し引き・納入が行われる方式が一般的。
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社会保険料:退職金(退職一時金)自体にはかかりません。
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計算根拠欄
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勤続年数(端数切上げ):退職所得控除の基礎。1年未満は切り上げで計算。
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退職所得控除額:勤続年数に応じた法定の控除(後述)。
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課税退職所得金額:{(退職金-退職所得控除)×1/2}を基本に算出(例外あり)。
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税金の仕組みを一発理解
退職所得控除の公式
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勤続20年以下:40万円 × 勤続年数(最低80万円)
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勤続20年超:800万円 + 70万円 ×(勤続年数-20年)
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障害者が直接の原因で退職した場合:上記に100万円を加算。
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勤続年数の端数は切り上げ。
課税退職所得金額(いくらに税率がかかる?)
原則:
課税退職所得金額 =(退職金 - 退職所得控除)× 1/2(1,000円未満切捨て)
例外:役員等で勤続年数5年以下の「特定役員退職手当等」は1/2が使えません。
「退職所得の受給に関する申告書」
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これを退職までに会社へ提出していれば、控除や1/2を織り込んだ計算で源泉徴収(原則、確定申告不要)。
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未提出だと、退職金×20.42%(所得税+復興特別所得税)で仮計算・源泉徴収。後で確定申告で精算が必要です。
住民税・社会保険料はどうなる?
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住民税(退職所得分):退職金支給時に特別徴収(会社が計算・徴収・納入)。市区町村の実務案内でもこの運用が示されています。
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社会保険料:退職金(一時金)には課されません。ただし、退職後の健康保険加入(任意継続・国保・被扶養者)の保険料負担は別途発生し得ます。
任意継続は原則2年、保険料は在職時のおおむね2倍(事業主負担がなくなるため)が目安です。
明細チェックの手順(5ステップ)
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勤続年数を確認(端数切上げが反映されているか)。
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退職所得控除額が公式どおりか照合(20年区分、障害者加算有無)。
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課税退職所得金額の算式が正しいか(原則1/2、特定役員等は除外)。
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「退職所得申告書」提出の有無で源泉方式が正しいか(未提出なら20.42%一律)。
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住民税の特別徴収欄の計算・控除があるか(自治体の運用どおりか)。
ありがちトラブルと防止策
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控除の勤続年数が1年切上げになっていない
→ 端数は切上げがルール。明細根拠と就業記録を突合。 -
申告書未提出で20.42%が引かれてしまった
→ 確定申告で精算可能。提出済みでも誤りが疑われる場合は会社へ照会。 -
役員等5年以下の取り扱いミス(1/2適用してしまった等)
→ 「特定役員退職手当等」に該当するか確認し、計算を修正。 -
住民税が差し引かれていない/納付先が違う
→ 退職日の属する年の1月1日現在の住所地へ会社が納入する運用か確認。 -
退職後の健康保険料の見落とし
→ 任意継続・国保・被扶養者の選択と費用見積りを早めに。
退職形態別の注意点
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通常退職(定年等)
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控除+1/2で税負担は相対的に軽くなることが多い。
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早期退職優遇
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加算金も退職所得の対象。総額が大きいほど控除と1/2の効果を把握。
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役員等(勤続5年以下)
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1/2不適用、税額が跳ねやすい。該当判定は厳密に。
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中退共(中小企業退職金共済)
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事業主が掛金を拠出し、機構が退職金を支給する仕組み。受け取り時の税計算は退職所得の一般ルールに沿って明細確認。
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ミニ計算例(流れを掴む)
例:勤続28年、退職金2,000万円、一般社員、申告書提出済みの場合
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退職所得控除
800万円+70万円×(28-20)= 1,360万円。 -
課税退職所得金額
(2,000万円-1,360万円)×1/2= 320万円(1,000円未満切捨て)。 -
所得税・復興特別所得税
320万円に対し速算表で税額→明細の源泉税と整合するかを確認。 -
住民税(退職所得分)
会社が特別徴収→自治体へ納入。明細の控除欄と一致するか確認。
例:申告書未提出だと、退職金×**20.42%**で仮に引かれ、あとで確定申告で精算。
よくあるQ&A
Q. 退職金に社会保険料はかかりますか?
A. 退職一時金にはかかりません。ただし退職後の健康保険の保険料は別途必要になる場合があります(任意継続は原則2年、在職時負担の約2倍が目安)。
Q. 退職金をもらったら確定申告は必要?
A. 申告書を提出していれば、原則不要です。未提出や計算誤りがある場合などは確定申告で調整します。
Q. 勤続年数の端数はどう扱う?
A. 切り上げます(例:10年2か月→11年として控除を計算)。
Q. 役員で在任5年以下でした。1/2は使えますか?
A. 使えません(特定役員退職手当等)。
チェックリスト
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勤続年数(端数切上げ)を確認した
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退職所得控除の金額が公式どおり
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(一般)1/2が適用されている/(特定役員)1/2不適用になっている
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退職所得の受給に関する申告書の提出状況を確認した
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20.42%の仮源泉になっていないか(未提出時)を確認した
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住民税の特別徴収が明細に反映されている
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社会保険料は控除対象外であることを認識した(退職後の保険加入は別途対応)
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中退共や企業年金の一時金は合算や別枠の扱いを確認した