退職は「辞めます」と伝えた瞬間から、段取りの勝負です。引き継ぎ、書類、保険や税金の切替、社内外への挨拶——やることは多いのに、期限はバラバラ。
ひとつ漏れるだけで、後任や取引先に迷惑がかかったり、手当や給付金を逃したりすることもあります。
そこで本記事では、最短・最小の労力で“きれいに去る”ための完全ロードマップを用意しました。
退職90日前から当日、そして退職後までを時系列でチェックでき、テンプレ(引き継ぎ・挨拶文・書式)もそのまま使えます。
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法的には2週間前申出で退職可能(無期雇用)。有休は退職日まで行使可。
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ただし、円満退職=早めの宣言×緻密な引き継ぎ×誠実な挨拶。
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退職後の公的手続き(健保・年金・雇用保険・税)は期限管理が命。離職票・源泉徴収票・退職金の申告書は必ずチェック。
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まず押さえる「退職の原則」
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無期雇用(正社員等)は、退職の申出から2週間で労働契約を終了できます(就業規則の「○か月前」より法が優先)。やむを得ない事情のない有期雇用は別途制限あり。
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有給休暇は退職日まで権利が残り、退職時の時季変更権(会社が取得日をずらす権利)は原則使えません。最終出社日前に計画的に申請を。
退職までの時系列チェックリスト
(〜90日前)「意思決定・段取り」
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退職希望日・最終出社日・有休消化計画を逆算(引き継ぎ必要量から算定)。
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内々に直属上司へ口頭で相談→退職願/退職届の提出時期を合意。
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退職願:合意を求める文書(撤回余地あり)。
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退職届:一方的通告(受理後の撤回は原則不可)。
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退職後の健康保険(任意継続/国保/家族の扶養)と年金(国民年金第1号への切替)を下調べ。
(60〜45日前)「正式手続き開始」
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退職願→受理→退職届の順で提出(社内規程に従う)。
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有休の一括申請(消化計画を添付/最終出社日を確定)。
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引き継ぎ計画書を上司と合意(範囲・期日・後任・棚卸)。
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私物・データの整理(会社資産と混在しないように)。
(30〜14日前)「引き継ぎ実行」
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マニュアル・台帳の整備(テンプレートは後述)。
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取引先への後任周知(上司の許可のうえ段階的に)。
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経費精算・未払精算、社内アカウントの棚卸を開始。
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離職票の要否を人事へ連絡(転職先決定済みでも発行依頼すると安心)。
(7〜3日前)「最終調整」
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返却物チェック(PC・セキュリティカード・鍵・通勤定期など)。
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挨拶メール草稿を承認取り。
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退職金がある人は「退職所得の受給に関する申告書」を会社へ提出(税の控除計算に必須)。
(最終出社日)
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引き継ぎ完了報告(上司・関係者へ)。
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返却物の最終チェック・機器の初期化/バックアップ。
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社内外へ挨拶(順番は後述)。
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勤怠の最終確認(有休消化・遅刻欠勤の有無)。
(退職後 〜2週間)「受け取り・切替」
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離職票(-1, -2)が届いたら保管。失業給付を受ける人はハローワークで求職申込み・受給資格決定へ(必要書類:離職票、マイナンバー確認、本人確認、写真、通帳など)。
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健康保険の切替:
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任意継続(退職日の翌日から20日以内に申請/最大2年)。
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国民健康保険(市区町村で手続き)。
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家族の被扶養者(配偶者の健保へ届出)。
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国民年金(第1号)へ切替手続き(資格喪失日の証明[離職票等]が必要な場合あり)。
(退職後 〜1か月)
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源泉徴収票を受領(中途退職者は退職後1か月以内に交付義務)。未着なら会社へ確認。
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退職金の源泉徴収票も保管。申告書未提出で20.42%源泉された場合は確定申告で精算。
(退職後〜数か月)
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住民税:特別徴収(給与天引き)→原則普通徴収(個人納付)へ切替。時期や一括徴収の可否は退職月や再就職状況で変動。納付書が届いたら期日通りに納付。
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失業給付の認定日・待期期間に沿って求職活動。
引き継ぎの進め方(ミニマムで漏れない型)
4枚綴りテンプレ(要約+台帳+手順+リスク)
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サマリー(1枚)
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担当領域/関係部署/主要KPI
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重要日程(入稿・締切・更新日)
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クリティカル注意点(法令・監査・違約ペナルティ)
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案件台帳(1枚)
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案件名/相手先/目的/現状/次の一手/期日/難易度
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運用手順(1枚)
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定例業務の手順(1→2→3)
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使用ツール・権限・保存先(パス/共有リンク名)
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リスク&FAQ(1枚)
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よくあるトラブル→対処法
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依頼・承認の窓口(人名・連絡先)
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コピペ用:引き継ぎサマリー(例)
退職時の書類・返却物フルリスト
自分が提出・申請するもの
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退職願/退職届(会社所定様式がベター)
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有給休暇申請(まとめて申請)
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退職金がある人:退職所得の受給に関する申告書(会社へ)
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健康保険の切替申請(任意継続/国保/被扶養者)
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国民年金(第1号)加入手続き(市区町村窓口)
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失業給付の手続き(希望者:ハローワーク)
会社から受け取るもの
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離職票(-1, -2)(失業給付に必要/転職済みでも保管推奨)
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源泉徴収票(退職後1か月以内交付)
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退職金の源泉徴収票(ある人)
返却物・精算
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PC・スマホ・セキュリティカード・鍵・社員証・通勤定期
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名刺・備品・貸与書籍/ツールの権限返納
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立替経費・交通費の清算・社印の返納(部門次第)
社会保険・税の手続きまとめ(重要ポイントだけ)
健康保険
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任意継続:退職日の翌日から20日以内申請、上限2年。保険料は全額自己負担。
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国民健康保険:市区町村で加入。非自発的失業は保険料軽減制度の対象になり得る。
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家族の被扶養者:配偶者等の健保組合・協会けんぽで手続き
年金
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退職後は国民年金(第1号)へ切替。資格喪失日の証明(離職票等)の提出が求められる場合あり。
雇用保険(失業給付)
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離職票が届いたら、居住地のハローワークで求職申込み→受給資格決定。持ち物は離職票、マイナンバー確認書類、本人確認、写真、通帳等。
住民税
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給与天引き(特別徴収)は退職で停止し、原則普通徴収(個人納付)へ。
退職月・再就職状況により一括徴収や転職先で特別徴収継続の選択肢あり。
源泉徴収票・退職金の税
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源泉徴収票は退職後1か月以内に交付義務。未着なら会社へ催促。
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退職金は「退職所得の受給に関する申告書」提出で、支払時に適正課税(原則確定申告不要)。未提出だと20.42%源泉→確定申告で還付の可能性。
有給休暇の消化と注意点
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退職間際の有給申請は有効。会社は「人手不足」等を理由に原則拒めません。退職日を跨ぐ時季変更は不可。
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最終出社日は有給残数から逆算(例:残5日なら、退職日の5営業日前を最終出社日に)。
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法定分の買い上げは原則不可だが、退職で消滅する分の買い上げは実務上例外的に行われることも。
挨拶の「順番」とテンプレ
順番(社内)
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直属上司(最優先・個別)
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人事・総務(手続き連絡)
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部門メンバー/関係部署(引き継ぎと合わせて)
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役員・メンター等(お世話になった順)
順番(社外)
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重要顧客・キーパーソン(個別メール/電話→後任紹介)
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主要取引先全般(部門一斉メール)
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ベンダー・外注先(契約・請求の切替案内)
文面テンプレ(社内・部門向け)
文面テンプレ(社外・取引先向け)
よくある失敗と回避策Q&A
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Q:就業規則に「3か月前申出」とあるが?
A:法的には2週間でOK(無期雇用)。ただし、円満退職や引き継ぎ時間の確保のため1〜2か月前を目安に。 -
Q:離職票がなかなか届かない
A:10〜14日が目安。遅延時は人事に進捗確認→必要なら所轄ハローワークへ。 -
Q:任意継続と国保どっちが得?
A:保険料を比較。非自発的失業の国保軽減や、扶養入り可否で総額が変わる。 -
Q:源泉徴収票が来ない
A:退職後1か月以内に交付義務。会社へ請求を。 -
Q:退職金の税が高い?
A:申告書未提出だと20.42%源泉。提出済なら原則確定申告不要。未提出なら確定申告で清算可。
すぐ使える「退職準備」チェックリスト(コピー用)
□ 退職日・最終出社日・有休消化を逆算し決定
□ 上司へ口頭相談 → 退職願/退職届を提出(社内規程を確認)
□ 引き継ぎ計画(範囲/期日/後任/資料)を合意
□ 案件台帳・手順書・FAQ・権限一覧を作成
□ 取引先の後任周知(承認のうえ)
□ 経費・立替・貸与物の整理/返却予定表を作成
□ 離職票の要否を人事へ連絡(失業給付予定の有無に関わらず保管推奨)
□ 退職金がある→「退職所得の受給に関する申告書」を提出
□ 健康保険(任意継続/国保/扶養)を比較→申請期限をカレンダーに
□ 国民年金(第1号)切替の必要書類を確認(離職票など)
□ 源泉徴収票の受領予定(退職後1か月以内)をメモ
□ 住民税の納付方法(普通徴収・一括徴収・特別徴収継続)を確認
□ 社内外挨拶メールを準備/最終日の段取り
□ 私物・個人データの持ち出し禁止ルール順守/PC初期化の申請
補足:書式ひな形(抜粋)
退職願(例)
退職届(例)
迷ったら「退職願→合意→退職届」の順が安全。退職届は撤回が原則できない点に注意。