「この先の支払い、どうしよう…。」退職前夜、家計簿を見つめて不安になる――そんなあなたに知ってほしいのが、傷病手当金と失業保険の“正しい使い方”。
順番とタイミングを少し工夫するだけで、受け取れる金額も安心感も大きく変わります。
本記事は、退職前にやるべきチェック、退職後の賢い切り替え、長引く療養時の延長手続きまで、実務に即して丁寧にガイド。読了後には、あなたのタイムラインが完成します。
※本コンテンツは「記事制作ポリシー」に基づき、正確かつ信頼性の高い情報提供を心がけております。万が一、内容に誤りや誤解を招く表現がございましたら、お手数ですが「お問い合わせ」よりご一報ください。速やかに確認・修正いたします。
-
働けない期間が見込まれるなら、まず健保の傷病手当金(在職中に待期3日+退職日に出勤しない+被保険者1年以上)。
-
求職できる状態になったら、失業保険へ切替(2025年4月以降は自己都合の制限1か月、教育訓練で解除も)。
-
長期療養時は**雇用保険の受給期間延長(最大4年)**を忘れずに。郵送・代理可。
「スグペイ退職」なら、面倒な手続きをプロが代行。最短ルートで失業保険を受給サポートできます。
複雑な申請も任せられるので、不安なく・スピーディーに受給申請したい方におすすめです。 まずは無料診断で受給額をチェック!
まず押さえる“2つの給付”の正体
傷病手当金…会社の健康保険(協会けんぽ・組合健保)から、病気やケガで働けないときに給与の一部を補う給付。
最長1年6か月。待期3日後の4日目から支給。
失業保険(基本手当)…雇用保険から、離職後の求職活動中に支給。
自己都合・会社都合など理由でルールが異なる。病気等で求職できないときは受給期間の延長や雇用保険の傷病手当も使える。
傷病手当金(健康保険)の基礎:要件・金額・期間
受給要件(4要件)
-
業務外の病気・けがの療養で休業
-
就労不能(元の職務に就けない程度)
-
連続3日の待期+4日目以降の休業
-
休業期間中に賃金の支払いがない(一部支給なら差額調整)
これらを満たす日について支給。
支給額(目安)
-
1日あたり:標準報酬日額 × 2/3(上限あり、計算細則は健保の等級に基づく)
-
待期は連続3日、支給は4日目から。
支給期間
-
最長1年6か月。
-
通算化:復職・再休業を挟んでも同一傷病なら通算で1年6か月まで。
退職しても「傷病手当金」を受け続ける条件
退職後も資格喪失後の継続給付で受給を続けられる場合があります(期間が延びるわけではなく、在職中の支給開始日から通算1年6か月が上限)。主な条件:
-
退職日までに継続1年以上の被保険者期間がある(任意継続・国保期間は含めない)
-
資格喪失時(=退職日の翌日)に受給中または受給条件を満たす状態(待期完成+労務不能)
-
退職日に出勤していない(出勤すると継続給付の要件を満たさない)
失業保険(雇用保険・基本手当)の基礎
2025年4月1日以降の大きな変更点
-
自己都合離職の給付制限:原則2か月 → 1か月に短縮(退職日が2025/4/1以降)。
-
リスキリング等の教育訓練を自ら受けた場合は、給付制限なしで受給可(要件あり)。
-
過去5年で一定回数以上の自己都合離職があると例外的に3か月の制限が残るケースあり。
雇用保険の「傷病手当」(名称が同じでも制度が別)
-
離職後に求職申込み後、15日以上就業不能となった場合の給付(基本手当と同額日額)。
-
30日以上就業不能が続くなら、受給期間の延長(最大4年)が可能。
-
他法令の類似給付(=健康保険の傷病手当金等)を受ける日は支給対象外。
同時受給はできる?—賢い“切り替え”の順番
-
原則、同時受給は不可。健康保険の傷病手当金を受ける日は、雇用保険の基本手当(や雇用保険の傷病手当)はもらえません。
-
使い分けの基本軸
-
まだ働けない:健保の傷病手当金を優先
-
働ける状態に回復:失業保険(基本手当)へ切り替え
-
-
回復まで長引きそうなら、雇用保険の受給期間延長を先に手続きしておくと安心。
退職前チェックリスト
-
診断書の準備:就労不能の証明を確保。
-
待期3日を在職中に消化:退職前に欠勤等で待期を満たすと、退職後の継続給付に有利。
-
退職日に出勤しない:継続給付の要件に直結。
-
被保険者期間の確認(1年以上):継続給付の前提。
-
離職票の受領準備:失業保険関連の手続きで必要。
-
教育訓練の計画(自己都合退職予定者):2025年以降は給付制限短縮・解除の追い風。
ベストシナリオ別:時系列タイムライン例
A)療養継続 → 回復後に求職
-
退職前:診断書取得+待期3日消化
-
退職日:出勤なしで退職
-
退職後:傷病手当金(健保)を継続給付(上限は支給開始日から通算1年6か月)
-
回復後:ハローワークで求職申込み→基本手当受給へ切替(必要に応じ受給期間延長済)。
B)短期で回復見込み → 早めに求職
-
退職後すぐ求職→自己都合の給付制限は原則1か月(2025/4/1以降)。
-
離職前後に教育訓練を受けていれば制限なしで受給も可(要件あり)。
受給期間の延長制度(最大4年)で損しない
-
基本手当は原則、離職翌日から1年以内が受給期間。
-
ただし、病気・けが・妊娠出産・育児・介護・海外滞在等で30日以上働けない場合、元の1年に最大3年上乗せ(=最長4年)できる。
-
申請は郵送・代理人も可。医師の証明など理由書類が必要。
申請書類・手続きの流れ(番号つき手順)
傷病手当金(健康保険)
-
会社経由または健保に「傷病手当金支給申請書」を入手
-
医師の意見欄を記入してもらう
-
事業主証明(賃金支払状況)を受ける
-
健保へ提出(各健保の締切・方式に従う)
※ 傷病手当金の権利は時効2年(発生日翌日から)。早めの申請が安全。
失業保険(基本手当)・受給期間延長
-
離職票等を準備
-
ハローワークで求職申込み(療養中で行けない場合は先に受給期間延長申請)
-
延長時は受給期間延長申請書+医師証明等を提出(郵送・代理人可)
-
回復後、受給手続き→失業認定へ(延長していても最終的な受給日数は同じ)
よくある落とし穴Q&A
Q1. 傷病手当金と失業保険を同時にもらえますか?
A. 不可。同じ日に両方は受けられません(雇用保険は「類似給付のある日」は不支給)。順番に使い分けます。
Q2. 退職日だけ出勤したら?
A. 継続給付の要件を満たせず、退職後に健保の傷病手当金を受けられない恐れ。
Q3. 「1年6か月」を超えて延びますか?
A. 延長不可(同一傷病)。ただし支給期間は通算できる点に注意。
Q4. 自己都合退職の給付制限は今いくつ?
A. 退職日が2025/4/1以降なら原則1か月。一定の教育訓練実施で制限なしも。例外的に3か月となるケースがある。