会社を辞めたその瞬間から、生活のリズムも、収入の見通しもがらりと変わります。
そんな不安をやわらげ、次の一歩を後押しするのが「退職給付金」。
――でも、自己都合と会社都合で何が違う?待期や給付制限って結局いつから?ハローワークでは何を出せばいい?…ネットの情報を渡り歩いて、余計に混乱していませんか。
本記事では、退職給付金の全体像を最短ルートで整理し、「受給条件」「支給期間(いつ・どれくらいもらえるか)」「手続きの流れ(何を・いつ・どこへ)」を、はじめての方でも迷わない順番で解説します。
再就職手当や65歳以上の一時金、教育訓練給付まで、見落としがちな制度も一網打尽。
読み終えるころには、あなたの退職理由・退職日・加入歴から“自分はどれに当てはまり、いつ入金され、いくら前提で動けば良いのか”が一目で判断できるようになります。
時間もお金もムダにしない、退職後の賢いスタートを切りましょう。
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公的給付は「働く意思と能力+求職活動」が大前提。待期7日と給付制限(自己都合など)がスケジュールの肝です。2025年4月1日以降は自己都合の原則1か月という最新ルールも必ず確認。
金額面は毎年8月に見直され、2025年8月1日以降は上限・下限が引き上げ。自分の賃金水準×給付率×所定日数で概算し、就活計画を立てましょう。
会社の退職金・企業年金は受け取り方で税が変わります。退職所得控除、公的年金等控除などを踏まえて「一時金/年金」の組み合わせを設計しましょう。
役立つチェックリスト
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退職理由(自己都合/会社都合)と退職日(2025/4/1前後)を確認した? → 給付制限・支給開始時期が変わる。
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離職票・マイナンバー確認書類・本人確認書類・写真等は揃った? → 初回手続きで必要。
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初回説明会・4週ごとの認定日はカレンダーに入れた? → 認定を受けないと支給されない。
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早期就職の見込みは? → 再就職手当の要件を満たすルート(紹介経由等)を意識。
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退職金の受け取り方は税まで比較した? → 退職所得控除を把握。
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そもそも「退職給付金」とは何か——二つの意味に注意
日本で「退職給付金」という言い方は大きく二つの文脈で使われます。
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公的な退職後給付:会社を離職した後の生活・再就職支援として支給される雇用保険の給付(失業給付=基本手当、再就職手当、教育訓練給付、高年齢求職者給付金、特例一時金など)。これはハローワーク(公共職業安定所)で手続きします。
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会社の退職金・企業年金:各社の就業規則や企業年金規約で支給される退職金(退職一時金)や企業年金(確定給付型=DB・確定拠出型=DC)。税金の扱い(退職所得控除)や受け取り方(一時金/年金)も重要です。
この記事はまず公的給付を中心に、後半で会社の退職金・企業年金と税も押さえます。
公的な退職後給付(雇用保険など)の全体像
離職後の主役は雇用保険の「求職者給付」です。基本線は次の通り。
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失業給付(基本手当):離職前の雇用保険加入歴・離職理由などの条件を満たし、「働く意思と能力」があり求職活動をしている人に支給。原則4週間ごとの認定で振り込み。
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再就職手当:失業給付を残して早期に安定就職したときにもらえる一時金(条件あり)。ハローワーク
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高年齢求職者給付金:65歳以上で離職した方が対象の一時金(所定の加入歴などが条件)。
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特例一時金:短期特例被保険者だった方向けの一時金。
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教育訓練給付:指定講座の受講費用の一部を支援(一般/特定一般/専門実践の3類型)。
失業給付(基本手当):受給条件・支給額・期間・最新改正点
受給の大原則
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雇用保険の被保険者期間が所要以上(離職理由により要件が異なる)
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失業状態で、就職する意思・能力があり、求職活動をしている
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ハローワークで求職申込みと受給手続きを行い、定期的な失業認定(原則4週ごと)を受ける
これらが軸になります。
いつからもらえる?(待期・給付制限)
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受給資格が決まっても、最初の7日間は「待期」で支給なし。さらに自己都合退職など一部のケースでは給付制限がつきます。
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最新改正:退職日が2025年4月1日以降の自己都合離職は、原則給付制限1か月(※同5年内に正当な理由なく2回以上自己都合退職などは3か月)。2025年3月31日以前は原則2か月でした。ここは混同しやすい超重要点。
いくらもらえる?(基本手当日額)
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基本は「離職前6か月の賃金」から算出した賃金日額×給付率。
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上限・下限は毎年8月に見直され、2025年8月1日以降は年齢区分ごとに上限額が引き上げ。たとえば45〜59歳の上限は8,870円/日。下限は2,411円/日(全年齢共通)。
何日もらえる?(所定給付日数の目安)
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離職理由(自己都合/会社都合など)、被保険者期間、年齢で決まります。会社都合等のほうが長くなる設計。個別の所定日数はハローワークの案内で確定され、以降は原則4週間に1回の認定→振込の流れです。厚生労働省
再就職手当:早く就職した人がもらえる一時金
「失業給付を残したまま、安定した職に早期就職」した人へのインセンティブ。代表的な要件は次の通りです。
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受給手続き後、待期(7日)満了後に就職したこと
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所定給付日数の3分の1以上の支給残日数があること
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前の事業主に戻っていない(資本・人事等の関係が密接でない)こと
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給付制限があるケースは、待期後1か月以内はハローワーク等の紹介経由での就職であること など。
金額はおおむね「残っている日数×基本手当日額×一定割合(60〜70%など)」で概ねイメージできます(実際は細かな条件・割合設定あり。就職後に所定の申請が必要)。
65歳以上の方の「高年齢求職者給付金」
65歳以上で離職した方が、所定の条件を満たすと受けられる一時金です。
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直前1年で被保険者期間が通算6か月以上(賃金支払基礎日数11日以上の月の通算など実務基準あり)
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失業状態(働く意思・能力があり、求職活動をしている)
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受給手続き後、3〜4週間後の認定日に失業認定→支給、という運用が基本。
短期雇用向けの「特例一時金」
季節・短期雇用に多い短期特例被保険者が失業した場合の一時金です。
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直前1年で「11日以上働いた月」が通算6か月以上(80時間以上の月の取扱いあり)
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失業状態が前提
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受給期限に注意(原則、離職日の翌日から6か月)。ここを過ぎるともらえません。
手続きの流れ(退職後〜入金まで)を時系列で
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離職票の受け取り
会社から交付されます(遅いときは会社・ハローワークに相談)。 -
ハローワークで「求職の申込み」+受給手続き
離職票(1・2)、マイナンバー確認書類、本人確認書類、必要に応じ写真などを持参。窓口で受給資格決定が行われます。 -
待期7日(この間は支給なし)。自己都合などの給付制限がある場合はその期間も経過が必要。
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初回の「雇用保険受給者初回説明会」等と失業認定
以後は原則4週間に1回、指定日にハローワークへ。求職活動の実績等を確認し、認定後に口座へ振込。 -
再就職が決まったら
再就職手当など該当する給付の申請を早めに。条件や必要書類があるため、就職前後でハローワークへ相談が確実です。
会社の退職金・企業年金(DB/DC)と税金:一時金か年金か
ここからは会社独自の退職給付についての要点です。
退職金の税金(退職所得)
退職金は優遇税制があり、まず「退職所得控除」を差し引き、さらに課税対象は半分(1/2課税)という流れです(勤続年数で控除額が大きく変わる)。
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例:勤続30年 → 退職所得控除1,500万円(800万円+70万円×10年)。
控除表・源泉の考え方は国税庁の案内が基準。同一年内に複数社から受ける場合などは扱いが変わる点に注意。
企業年金の型と受け取り
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確定給付企業年金(DB):あらかじめ給付内容(給付式)を約した年金。企業が責任を負い、基金型/規約型の形態があります。
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確定拠出年金(DC:企業型/個人型iDeCo):掛金を確定し、運用次第で受取額が変わる。原則60歳から受給(通算加入者期間が短い場合は61〜65歳へ段階的繰上げ)。一時金(退職一時金)/年金の選択が制度上用意されるのが一般的です。
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近年は企業型DCの加入可能年齢の拡大(規約次第で70歳未満まで加入可)といった制度面の変化もあり、就業継続と老後資産形成の選択肢が広がっています。
一時金で受け取るか、年金で受け取るかは税の最適化に直結します。退職金として一時金受け取りなら退職所得控除+1/2課税、年金受け取りなら公的年金等控除の枠組みになるなど、トータルの税負担・家計設計で判断しましょう。国税庁
よくあるつまずき・注意点Q&A
Q1. 自己都合で辞めたら、いつから振り込まれる?
A. 待期7日に加えて給付制限があります。2025年4月1日以降の退職は原則1か月(一定の場合3か月)、2025年3月31日以前は2か月。初回の失業認定日以降に振り込みが動きます。
Q2. 「求職活動をしていない」期間があるとどうなる?
A. 失業の認定が受けられず、その期間の支給はありません。原則4週間ごとの認定で実績確認があります。
Q3. 就職が早く決まった。再就職手当は誰でももらえる?
A. 支給残日数や紹介経路など要件を全て満たす必要があります。自己都合で給付制限がついている場合、待期後1か月以内に就職するならハローワーク等の紹介であることが条件です。
Q4. 65歳以上でも何か受けられる?
A. 条件を満たせば高年齢求職者給付金が一時金で支給されます(直前1年で6か月以上の被保険者期間など)。
Q5. 期限を逃すとどうなる?
A. たとえば特例一時金は離職日の翌日から6か月が受給期限。過ぎると原則支給されません。
Q6. 退職金の税金はどうやって安くなるの?
A. 勤続年数に応じた退職所得控除をまず差し引き、さらに1/2課税。勤続が長いほど控除が大きく、税負担は軽くなります。