「退職理由は“なんとなく一身上の都合”でいい」――そう思っていませんか?
実は、自己都合か会社都合かの一言が、失業給付の開始時期や受給日数、そして将来の転職活動にまで影響します。
しかも2025年以降は制度の細かな変更も進み、同じ退職でも“書き方次第”で結果が変わるケースが少なくありません。
本記事では、まず自己都合と会社都合の定義をスッキリ整理し、離職票での判定のされ方や「特定受給資格者/特定理由離職者」の考え方まで、初心者でも迷わないよう噛み砕いて解説します。
さらに、そのまま使える退職届の例文、グレーケースの判断基準、トラブルを防ぐチェックリストまで用意。
「円満に辞めたい」「給付は最短で受けたい」「後から損したくない」――その全部をかなえるための、正しい“退職事由の書き方”をここでマスターしましょう。
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書面上の表現は簡潔に(自己都合=「一身上の都合」)。一方で、離職票/離職証明書の「離職理由」は給付に直結するため、事実に即して具体的に。
2025年4月以降、自己都合の給付制限は原則1か月に短縮。特定受給資格者・特定理由離職者なら優遇あり。
迷ったら、証拠を整えたうえでハローワークに相談。離職理由の判定は労使双方の主張や資料で行われます。
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まず押さえる定義と全体像
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自己都合退職…労働者の申し出により退職すること(例:キャリア転換、家庭事情、体調不良など)。
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会社都合退職…会社側の事情により退職となること(例:解雇、倒産、事業縮小、契約打ち切り等)。労基法の解雇手続や解雇予告手当の要否が関わる。
ポイント:同じ「退職」でも、失業給付の開始時期や給付日数に差が出ます。さらに、実際の区分は離職票/離職証明書に記載される「離職理由」で判定されます。
自己都合と会社都合の「実務上の違い」
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解雇予告・手当(会社都合の一部で発生)
会社は解雇の少なくとも30日前に予告、または30日分以上の平均賃金の支払いが必要(例外除く)。 -
給付開始のタイミング・日数
会社都合は待期7日後から早く給付開始、日数も長くなりやすい。一方、自己都合は給付制限が付く(下記「3. 最新ルール」参照)。
2025年の最新ルール:失業給付(雇用保険)の取り扱い
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給付制限(自己都合)
2025年4月1日以降に離職した「正当な理由のない自己都合」は、待期7日に加え原則1か月の給付制限。同年3月31日以前は原則2か月。 -
メディア・実務解説でも自己都合=1か月、会社都合は待期7日後が目安として整理されています(給付日数は被保険者期間・年齢等で変動)。
注意:自己都合でも“やむを得ない事情”があれば給付制限なしとなる場合があります(「特定理由離職者」)。詳しくは次章へ。
「特定受給資格者」と「特定理由離職者」も要チェック
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特定受給資格者(典型:倒産・解雇・大量雇用変動等)
会社都合に該当し、給付開始が早く、所定給付日数も優遇。 -
特定理由離職者(やむを得ない自己都合:病気、家庭・介護、通勤困難、雇止め等)
自己都合の枠でも給付制限なしなどの優遇がある。実務では離職理由コードで判断(例:21, 22, 31, 32 など)。
離職票・離職証明書の確認ポイント
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本人が確認できる
在職中に離職証明書の記載内容(離職理由等)を確認可能。離職後、離職票(-1, -2)が交付されます。 -
書き方の公的ガイド
離職理由は「具体的事情」を詳細に記載するのが原則。根拠資料(出勤簿・雇用契約・退職願など)の添付が求められる。 -
判定の流れ
事業主の主張に加え、離職者側の主張も聴取の上でハローワークが判定する運用。記載に疑義があれば相談・申出を。 -
コード・区分の目安(参考)
自己都合(例:4D/40,45)、重大な理由による解雇(5E/50,55)など、実務上のコード体系が使われます。
退職願・退職届における退職事由の書き方(例文つき)
基本の考え方
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自己都合退職:事由欄は簡潔に「一身上の都合」が通例。詳細は書かない。
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会社都合(解雇等):基本的には会社からの通知・説明が前提。本人が提出する文書は合意退職に誘導されないよう注意(離職票の区分に直結し得るため)。
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日付の扱い:本文中に退職日、末尾に提出日を記す。縦書きは漢数字、横書きは算用数字が一般例。
例文(自己都合退職/退職届)
退職届
私儀
一身上の都合により、2025年12月31日をもって退職いたします。
以上
2025年11月15日
〇〇部 氏名 ㊞
代表取締役社長 〇〇 〇〇 殿
(書式の基本要素・宛名・捺印等のポイントは各社の様式に従う)
NG/注意
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「退職勧奨に応じます」等、会社都合を自己都合に読み替えられる表現は避ける(最終的な判定は離職票・事実関係)。
こんな時はどちら?グレーケースの判断材料
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雇止め(契約社員・派遣)
事業主側事情による雇止めや継続就労の合理的期待があった場合は、特定受給資格者扱いになる場合あり。 -
病気・介護・配偶者転勤など
自己都合でも特定理由離職者に該当し、給付制限なしの可能性。診断書等証拠書類の提出が鍵。 -
退職勧奨に応じた合意退職
文書上は自己都合になりがち。事実として退職を余儀なくされたなら、具体事情の記録(業務縮小の通知、配置転換不能の説明など)を残し、離職票の記載を確認。
トラブルを防ぐための手順(チェックリスト)
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退職理由を自分の言葉で整理(キャリア、健康、家庭、会社都合の事情の有無)。
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会社の様式・就業規則を確認(提出書式/日付の書き方)。
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証拠を集める(通知文、勤怠・業務命令、診断書等)。
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退職願/退職届は簡潔に(自己都合は「一身上の都合」)。
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離職票の到着後に必ず内容確認(区分・理由・コード)。疑義はハローワークへ相談・申出。
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(会社都合の可能性がある人) 解雇予告や手当の扱いを確認。不足があれば会社へ照会。
よくある質問(Q&A)
Q1. 履歴書や職務経歴書に退職理由は書くべき?
A. 原則、書かなくてOK。面接で聞かれたら簡潔・前向きに説明。離職票の記載は雇用保険上の区分であり、応募書類とは目的が異なります(企業側への提出が必要な書類ではありません)。
Q2. 自己都合でもすぐに給付を受けられることはある?
A. 特定理由離職者に該当すれば、給付制限なしで扱われることがあります(病気、介護、通勤困難、雇止め等)。判断はハローワークが事実関係と資料で行います。
Q3. 会社から「退職願を出して」と言われたが、実態は配置転換不能・人員整理だった…
A. 退職勧奨に同意すると自己都合扱いになりやすいので注意。実態が会社都合相当なら、離職票の離職理由や具体事情記載の内容確認・相談を。