休職や長期の欠勤が続くとき、家計を支えるカギになるのが「傷病手当金」。その可否を左右するのが、申請書の医師記入欄(療養担当者意見欄)です。
本記事では、診察室で何を・どう伝えれば“労務不能”が具体的に伝わるかを、テンプレートとNG例つきでわかりやすく解説。
通りやすい書き方のツボ、よくある差戻しの回避策、メンタル/身体疾患別のポイントまで、今日から使える実践知だけを凝縮しました。
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働けない具体像を短く正確に伝える(業務への支障×実例)
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労務不能“期間”を必ず特定してもらう(最終日以降の証明日)
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月次で整然と申請(賃金・併給の調整書類も同封)
最後に:医師記入欄はあなたが渡す情報の質で出来が決まります。
この記事のテンプレとチェックリストを写しておき、そのまま診察に持参しましょう。
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傷病手当金と「医師記入欄」の位置づけ
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傷病手当金は業務外の病気・ケガで働けない(労務不能)期間の生活保障。支給期間は支給開始日から通算1年6か月。待期は連続する3日+4日目以降が対象です。
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申請書は4ページ建て(協会けんぽ様式)
1–2ページ=本人、3ページ=事業主証明、4ページ=医師(療養担当者)意見欄。審査ではこの4ページが「本当に就労不能か」の核心資料になります。
審査で見られる要点(医師が証明するべき中身)
医師記入欄で特に重視されるのは次の5点です。
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傷病名・初診日(療養開始日)
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労務不能と認めた期間(入院期間を含む)
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主たる症状・経過(増悪・安定、治療内容、就労への具体的支障)
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発病・負傷の原因(労災該当は別系統)
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転帰・今後の見込み(就労可否の見通し・就業制限)
— これらは協会けんぽの記入例・注意点で明示されています。
ポイント:「病気がある」ことではなく「そのために働けない」ことの立証が必要。医師が期間付きで労務不能を判断・記載することが通過の鍵です。
診察前の準備チェックリスト
以下をメモ1枚にまとめて持参すると、医師が短時間で正確に書けます。
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【症状の具体】発症時期、頻度、強度/日内変動(朝・通勤時に悪化 など)
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【仕事の実務】職種・主なタスク・必要な集中/対人/体力負荷
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【支障の実例】ミス頻発、立位継続不能、対人恐怖で面談不可、通勤でパニック 等
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【治療経過】受診歴、検査所見、処方、リハ/療養指示、治療反応
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【就業可否の見立て】完全不可か、一部制限(時間/内容/在宅)ならどこまで可能か
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【時系列】欠勤・休職のカレンダー(待期3日の成立確認にも有用)
医師への「伝え方テンプレート」【そのまま使える例文】
A)総合テンプレ
「傷病手当金の申請で、労務不能の期間の証明が必要です。
仕事内容は(例:対人折衝+長時間のPC作業)で、現在は(具体症状)のため、(どの作業が・どの程度できないか)が起きています。
治療は(処方/リハ等)。いつからいつまで労務不能か、可能なら就業制限(時間/内容)の可否もご判断いただけると助かります。」
B)メンタル疾患の例
「朝起きられず遅刻・欠勤が続き、通勤電車で動悸とパニック。対人応対で思考停止し、顧客説明ができません。作業精度も落ちミスが増え、業務が成立しません。」
C)整形外科系の例
「右肩外転不可で上肢挙上を伴う作業全般が不能。PC長時間や重量物運搬で疼痛増悪。一定時間以上の同一姿勢が困難です。」
こうした**“働けない根拠”を具体化して伝えると、医師は労務不能の判断根拠**を書きやすくなります。社会保険給付金アシスト
傷病(身体・メンタル)別の具体例とNG例
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OK例(具体):「1時間の立位で痛み増悪→レジ対応継続不可」「対人面談10分で強い不安→営業面談不可」
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NG例(抽象):「つらい」「しんどい」「なんとなく無理」
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就業制限の書き分け:
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完全不可:就労不能と期間明記
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条件付き可:短時間・軽作業のみ可 等の具体制限
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復職リハビリ:段階的復職の可否と推奨ペース
(医師記入欄には期間の特定が重要。証明日は原則、労務不能期間の最終日以降に。)
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記入欄で起こりがちな不備と回避策
不備の例 | 何が問題? | 回避策 |
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労務不能期間が空白/曖昧 | 支給対象日が確定せず差戻し | 起点・終点を必ず記入してもらう |
傷病名・初診日が未記入 | 同一傷病の認定ができない | 診察時にカルテ日付を確認依頼 |
症状が抽象的 | 労務不能の根拠不足 | 業務への具体的支障を口頭+メモで提示 |
証明日が期間前日付 | 形式不備で差戻しリスク | 最終日以降の日付での証明を依頼 |
労災の可能性未整理 | 保険系統が異なる | 業務・通勤起因は労災を確認(疑義は労基署へ) |
申請のタイミングとサイクル、添付・併給の注意
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申請サイクル:事業主の賃金証明が必要なため、給与締切ごとの月次申請が推奨。
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賃金との調整:給与支払いがある場合は、傷病手当金との差額支給。
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第三者行為(交通事故等)の場合は別添書類が必要。
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併給関係:出産手当金・年金・労災給付等との支給調整あり。申請ごとに確認欄の記載と証明書類が必要。
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支給期間:同一傷病で通算1年6か月(延長不可が原則)。
産業医や主治医の区別、費用負担などFAQ
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誰が書く?:原則、診療を行っている医師(主治医)が意見欄を記載。産業医は診療に関与していなければ不可。
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手数料は?:医師意見書(診断書)の文書作成料は自己負担が一般的。
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様式は?:協会けんぽは2023年3月版様式が公開。各保険者の最新様式を確認。
当日の持ち物ミニリスト
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申請書(自分記入済1–2ページ、事業主への依頼状況)
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症状・業務の支障メモ(A4一枚)
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欠勤・休職のカレンダー(待期確認用)
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保険証、薬手帳、検査結果(あれば)
必要に応じ、最新の様式・記入例・注意点は協会けんぽの公式資料で確認してください(本記事は要点をかみ砕いたガイドです)。