社会保険給付金と失業保険の違いを解説！両方もらえるのか正しい受給ルールまとめ

「せっかくの給付金、順番を間違えて損していませんか？」
病気・けが、妊娠・出産、育児、そして離職——人生の転機は重なるもの。ところが、社会保険給付金と失業保険には“同時にはもらえない”組み合わせや、先にもらうべきものがはっきり存在します。
知らずに手続きを進めると、受け取れるはずのお金を逃してしまうことも。

このガイドでは、初心者でも迷わないように、

• それぞれの制度の目的と前提条件（「働けない」と「働ける」の決定的ちがい）

• 同時不可／可の代表パターン

• 損しない受給の順番と実務手順（傷病・出産・育休・年金・65歳以上のケースまで）

• 今すぐ使える受給期間延長のコツ
  を、やさしい言葉とチェックリストで整理します。

「いまの自分は就職できる状態か？」—この問いに答えながら読み進めれば、あなたがいま取るべき手続きと、後で確実にもらうための保全策が、数分でクリアになります。
まずは、あなたの状況に近いケースから読み始めてください。損しない選択は、正しい順番から生まれます。

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社会保険給付金と失業保険の「目的」と「前提条件」

• 社会保険給付金（ここでは主に傷病手当金・出産手当金・育児休業給付金）

  • 目的：病気・けが・妊娠出産・育児などで働けない／働かない期間の所得補償

  • 前提：就労不能（医師の意見）、産前産後の休業、雇用継続中の育休 など

  • ポイント：在職中が基本。傷病・出産は退職後の継続給付に該当する場合あり

• 失業保険（雇用保険の基本手当）

  • 目的：働けるのに仕事がない人への所得補償

  • 前提：離職後、いつでも就職できる能力があり、積極的に求職していること

  • ポイント：病気・妊娠・出産・育児等で「今は働けない」なら、まず延長手続きが基本

併給の可否：代表的な組み合わせ

• 傷病手当金 × 失業保険：同時不可

  • 働けない＝失業の要件（すぐ働ける）が満たせない

  • 回復後に失業保険へ切替が原則

• 出産手当金 × 失業保険：原則同時不可

  • 妊娠・出産で就業できない期間は失業保険の要件を満たさない

  • 受給期間延長で後から基本手当を受給

• 育児休業給付金 × 失業保険：同時不可

  • 育休給付は「雇用継続中」、失業保険は「離職者」向けで同時成立しない

• 老齢年金（65歳未満の特別支給含む） × 失業保険（基本手当）：併給不可

  • 基本手当の手続き中は年金が全額停止（後述参照）

• 老齢年金（65歳以上） × 高年齢求職者給付金：併給可

  • 65歳以上は「基本手当」ではなく一時金（高年齢求職者給付金）

ケース別：損しない受給の順番と手続き

A. 病気・けがで当面働けない（退職済み／退職予定）

1. 傷病手当金を優先して申請（在職中の要件充足、退職後継続給付の該当有無を確認）。

2. 失業保険の手続きは回復後に着手（求職申込み→受給資格決定）。

3. 回復まで時間がかかりそうなら、離職後すぐに受給期間延長を出して権利を保全。

B. 妊娠・出産で働けない

1. 出産手当金を確保。

2. 失業保険は受給期間延長を申請（30日以上働けない見込みが目安）。

3. 産後・体調回復後に求職申込み→基本手当を受給開始。

C. 育児休業中だが復職せず退職したい

1. 育児休業給付金は退職で打切りになる点に注意。

2. フル活用したいなら、育休満了→復職→退職→失業保険の順が一般的。

3. 退職後、保育環境が整っていない等で今は働けない場合は受給期間延長を活用。

失業保険の受給期間延長の使い方

• 基本の考え方

  • 失業保険の「受給期間」は原則離職日の翌日から1年。

  • 病気・けが・妊娠・出産・育児・介護などで30日以上連続して働けないとき、その日数分だけ延長できる（上限は最大3年加算）。

• 手続きの流れ

  1. 離職後、働けない状態が続く（もしくは見込める）と分かったら速やかに申請。

  2. ハローワークで「受給期間延長申請」を提出。

  3. 延長後、働ける状態になった時点で求職申込み→給付開始。

• 注意点

  • 申請が遅いと、結果的に受給しきれない恐れがある。

  • 証明書類（診断書、母子健康手帳の写し、保育園の不承諾通知 等）が求められることが多い。

年金と失業保険の関係（65歳未満／以上）

• 65歳未満

  • 老齢（厚生）年金と基本手当は同時受給不可。

  • 基本手当の受給手続期間は、老齢年金が全額停止される仕組み。

• 65歳以上

  • 失業給付は「高年齢求職者給付金」（一時金）へ。

  • 老齢年金と併給可。手続きの窓口と支給時期の確認を忘れずに。

申請先・必要書類チェックリスト

• 失業保険（基本手当）［申請先：ハローワーク］

  • 離職票

  • 雇用保険被保険者証

  • マイナンバー・本人確認書類

  • 証明写真（地域運用により不要の場合あり）

  • 受取口座情報

• 傷病手当金・出産手当金［申請先：加入していた健康保険（協会けんぽ／健保組合 等）］

  • 所定の申請書（事業主証明・医師証明欄）

  • 退職後継続給付に該当する場合は、資格喪失や賃金の分かる書類

• 受給期間延長［申請先：ハローワーク］

  • 受給期間延長申請書

  • 働けない事実を示す書類（診断書、母子健康手帳、介護関係書類 等）

よくある勘違いQ&A

• Q. 傷病手当金と失業保険は同時にもらえる？
  A. もらえません。療養中は「いつでも働ける」状態ではないため。回復後に失業保険へ切替。

• Q. 出産手当金と失業保険を同時受給できる？
  A. 原則不可。妊娠・出産で就業困難な期間は失業保険の要件を満たしません。期間延長で後から受給。

• Q. 育児休業給付金と失業保険は？
  A. 同時不可。雇用継続中の給付（育休）と離職者向け給付（失業）は同時成立しません。

• Q. 年金と失業保険の関係は？
  A. 65歳未満は併給不可（年金が停止）。65歳以上は高年齢求職者給付金と年金の併給可**。

• Q. 受給期間延長はいつ出せばいい？
  A. できるだけ早く。延長後の期間末まで申請可能な運用でも、遅いと受け切れないリスクあり。