「失業保険って年収に入るの?年末調整に書くの?」――毎年この時期になると、多くの人がつまずく定番の疑問です。
結論からいえば、雇用保険の基本手当などの“失業等給付”は税金の計算上は非課税。
つまり、年収(課税対象)には含めず、年末調整の書類にも記載不要です。ただし安心しきるのは禁物。
翌年度の住民税は「前年の課税所得」で決まり、失業保険が非課税でも住民税が発生することはある――この時間差ロジックが混乱のもとになります。
さらに、健康保険の扶養判定は別ルールで、日額基準を超えると受給中は被扶養者になれないことも。
税・住民税・社会保険の“ものさし”がそれぞれ違うからこそ、正しい線引きを知っておくことが節税と手続きミス防止の近道です。
本稿では、非課税の法的根拠から、年末調整・確定申告・扶養の実務判断まで、迷いどころを一気にクリアにします。
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「失業保険は年収に入る?」税・住民税・社会保険での扱いの違い
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所得税:非課税所得。確定申告が必要な場合(年途中退職で年末調整未済、アルバイト収入がある等)でも、失業保険自体は申告不要。
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住民税:非課税(翌年度課税ベースから除外)。自治体の案内でも「雇用保険の失業給付は非課税」と明示。
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社会保険上の扶養判定:収入として扱われる(税と扱いが異なる点に注意)。一般に基本手当日額が3,612円以上だと「年収130万円換算超」とみなされ、受給中は被扶養者になれないルールが広く運用されています(保険者により細部基準あり)。
年末調整での記載要否
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会社の年末調整は給与のみが対象。失業保険は計算に含めず、書類(給与所得者の扶養控除等申告書・保険料控除申告書など)への記載も不要。
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年途中退職で年末調整を受けていない:その年の給与に関しては本人が確定申告または年末調整可否の要件確認が必要。ただし失業保険はやはり申告不要。
非課税となる法的根拠
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雇用保険法 第12条(公課の禁止)
税金その他の公課は、失業等給付として支給を受けた金銭を標準として課することができない。
⇒ 税や保険料等の課税標準にしない旨を、法律が明確に規定。 -
国税庁の整理
国税庁は年末調整Q&Aで「失業等給付は非課税」と注記し、非課税所得は所得金額計算から除外されることを周知。 -
関連Q&Aでは、条例に基づく「失業者の退職手当」も失業等給付に相当するため非課税の取り扱い。
住民税(市県民税)への影響
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非課税のため、前年中に他の課税所得がなければ翌年度の住民税はかからない(均等割・所得割とも)。複数の自治体のFAQでも同旨。
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ただし、住民税は前年所得ベース。前年に給与等の課税所得があると、失業中でも翌年度に住民税が発生することはあります。
よく混同されるお金(課税/非課税の違い)
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労基法の「休業手当」(会社都合で休業時など):給与所得として課税。雇用保険の基本手当とは別物です。
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労災の「休業補償」等(労基法第8章の補償):非課税。
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職業訓練関連
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公的支援に基づく職業訓練受講給付金は実務上非課税取扱いの案内が一般的です(制度趣旨上の非課税)。※詳細は所管・給付内容で確認を。
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退職金(退職所得):通常は退職所得として課税(分離課税・控除あり)。一方、上記の「失業者の退職手当」(条例給付)は失業等給付相当として非課税。名称が似ていても法的根拠で扱いが異なります。
※ネット上には「職業訓練受給金は課税」など誤情報もあります。制度名・根拠法・給付主体で取扱いが変わるため、公式情報で必ず確認を。
ありがちトラブルと対処法(チェックリスト付き)
A. 年末調整で「失業保険の金額を書け」と言われた
→ 書かないのが正解。制度上、給与以外の失業等給付は対象外。国税庁Q&Aの注記を提示すればスムーズ。
B. 会社を年途中で退職し、給与の年末調整が未済
→ 自分で確定申告(給与分の源泉徴収票を添付)。失業保険は申告不要・記載不要。
C. 失業中にアルバイトをした
→ アルバイト等の収入は課税。収入状況に応じて確定申告が必要。失業保険の額は合算しない。
D. 翌年度の住民税が来て驚いた
→ 住民税は前年課税。前年に給与等があれば、失業保険が非課税でも住民税は発生し得ます。
受給中の扶養(健康保険・税制)の注意点
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税法上の扶養(配偶者控除等):失業保険は非課税・所得に算入しないため、原則控除判定に直接影響しません(他の所得状況で判定)。
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健康保険の扶養:運用上は失業保険も収入として判断。一般に基本手当日額3,612円以上で受給中は被扶養者になれないのが目安(保険者ごとに細部基準あり。60歳以上・障害年金要件該当者は上限が緩和される例あり)。迷ったら加入先健保に確認を。
ワンポイント
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待期期間・給付制限中は扶養に入れるケースが多いが、受給開始後は基準超過で扶養削除が必要になることがあります。手続漏れに注意。