「失業手当を満額もらうべきか、早めに再就職して再就職手当を狙うべきか」。
迷いの核心は、いつ動けば“手取りの総額”が最大化するかに尽きます。
本記事では、最新ルールに沿ってパターン別にもらえる金額を徹底シミュレーション。
所定給付日数・基本手当日額・支給残日数の“たった3つ”を押さえるだけで、あなたにとって最も得になるタイミングがクリアに見えてきます。
制度の落とし穴と対策まで、初心者にもわかりやすく解説します。
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結論:迷ったら「手当だけ」ではなく、手当+再就職後の給与の合計で比較。入社日を数日ずらすだけで給付率60%⇄70%が変わり、総額が動く。
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前提キーワード3つ:
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所定給付日数=もらえる最大日数/ 2) 基本手当日額=1日あたりの額(上限あり)/ 3) 支給残日数=就職前日までに受け取った日数を差し引いた残り。
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再就職手当の式:
再就職手当=基本手当日額 × 支給残日数 × 給付率
給付率は 残日数が3分の2以上→70%、3分の1以上→60%、未満は0%。 -
早見ロジック:
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早く決めるほど残日数↑ → 再就職手当↑ + 給与スタートも早い → 総収入が伸びやすい。
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少し遅らせても60%は狙えるが、残日数が減るほど再就職手当は縮む。
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判断の手順(3ステップ):
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自分の基本手当日額と所定給付日数を確認。
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今日時点の支給残日数を計算。
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入社予定日で60%か70%かを判定し、「手当+初月給与」の合計で比較。
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「失業手当(基本手当)」と「再就職手当」の役割の違い
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失業手当(基本手当)は、離職後の求職期間を支える“日割りの生活保障”。受給日数(所定給付日数)は年齢・雇用保険の加入期間・離職理由で決まり、90~360日の範囲で設定されます。
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再就職手当は、一定の条件を満たして“早めに”安定就業が決まったときに受け取れる“一時金”。早く決めるほど(=支給残日数が多いほど)手取り額が増える設計です。
なお、基本手当の上限・下限額は毎年おおむね8月1日に改定されます。令和7年=2025年は上限・下限が引き上げられています。
細かな数字は年齢で異なるため、就職時期がこの境目をまたぐ方は注意してください。厚生労働省
まず押さえる用語:所定給付日数・基本手当日額・支給残日数
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所定給付日数:あなたに“割り当てられた失業手当の最大日数”。例:90日、120日、150日…など。
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基本手当日額:1日あたりにもらえる失業手当。離職前の賃金(賃金日額)から算出し、年齢ごとの上限・全体の下限が適用されます。毎年8/1に見直しが入る点に留意。
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支給残日数:就職日の“前日まで”に認定・受給した日数を引いた残り。再就職手当の金額や可否を左右する中核指標です。
再就職手当の受給条件を“時系列”で理解する
再就職手当は条件を満たした安定就業で支給されます。実務では次の順でチェックすると迷いません。
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雇用保険の手続き完了+待期7日を満了しているか。待期中に入社すると対象外になり得ます。
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支給残日数が所定給付日数の「3分の1以上」残っているか。ここが最低ライン。
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雇用が“1年以上”続く見込み(正社員に限らず、契約・派遣でも可)があるか。
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前職や関連会社への出戻りではないこと、過去3年以内に同趣旨の給付を受けていないこと、などの禁止要件に触れていないか。
再就職手当の金額計算式と“給付率が上がるタイミング”
再就職手当の金額計算式と“給付率が上がるタイミング”の式はシンプルです。
再就職手当=基本手当日額 × 支給残日数 × 給付率
※基本手当日額には上限あり(年齢等で異なり、毎年8/1改定)。ハローワーク
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給付率は2段階。
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支給残日数が「所定給付日数の3分の2以上」…70%
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同「3分の1以上」(ただし3分の2未満)…60%
早く決める(=残日数が多い)ほど率が高くなります。
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厚労省の案内には、待期7日を終えた後にどの時点で就職すると、残日数・給付率・支給額がどうなるかの具体例が掲載されています。現物の流れをイメージするのに役立ちます。
パターン別シミュレーション:いつ就職すると総額がどう変わる?
ここでは“比較ロジック”が伝わるよう、同じ人が就職タイミングだけ変えた場合を3通り並べます。
数字は理解用の仮定です(実際はあなたの基本手当日額・上限・日数で再計算が必要)。
共通の前提(仮定)
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所定給付日数:90日
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基本手当日額:5,000円(上限内想定)
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再就職後の給与:月25万円(30日相当で25万円)
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手当は税社会保険を考慮しない概算の“見かけの額”で比較
ケースA:かなり早く決まる(残りが3分の2以上)
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失業手当を30日受け取り、その翌日就職した想定。
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支給残日数は60日(90-30)。3分の2以上なので給付率70%。
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再就職手当=5,000×60×0.7=21万円。
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受け取った失業手当=5,000×30=15万円。
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就職後の給与(1か月分想定)=25万円。
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総額(この1サイクル)=15万+21万+25万=61万円。
ケースB:少し遅れて決まる(残りが3分の1以上3分の2未満)
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失業手当を50日受け取ってから就職。
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支給残日数は40日。給付率は60%。
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再就職手当=5,000×40×0.6=12万円。
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受け取った失業手当=5,000×50=25万円。
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就職後の給与(1か月分想定)=25万円。
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総額=25万+12万+25万=62万円。
Aよりわずかに多く見えますが、就職が遅れたぶん収入開始も遅いため、キャッシュフローや次月以降の累計で逆転することも普通にあります。 “1か月”という切り出し方次第で見え方が変わる点に注意。
ケースC:就職せず所定日数を満了
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失業手当のみ90日×5,000=45万円。
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再就職手当なし。給与もゼロ。
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総額=45万円。
ポイント
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「手当だけ」で比較すると満額受給(C)が安定して見えますが、給与が加わるA・Bの方が総額で優位になることが多いのが実態です。
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AとBの優劣は、いつ給料が出るか(締め日・日割り)、次の昇給・賞与の時期、就職が1~2週間ずれた場合の残日数の変化などで簡単に入れ替わります。
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実務では、「残日数の閾値(3分の1・3分の2)」を意識し、面接・入社日の調整で給付率を70%側に乗せられないかを検討する価値があります。
どちらが得?判断のためのチェックリスト(実務のコツつき)
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現在の“基本手当日額”を把握する。 上限改定の影響を受ける年は8/1以降の支給分が変わるため、就職時期がまたぐなら最新の上限で再計算。
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今日時点の“支給残日数”を正確にカウント。 認定済み日数を差し引き、就職“前日”までで区切るのがコツ。
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入社予定日を微調整できるか確認。 たとえば1~3日入社を前倒し/後ろ倒しするだけで、残日数が閾値をまたぎ、給付率が60%⇄70%に動くことがあります(待期7日を跨がない範囲で)。
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雇用期間1年以上の見込みを“文書で確認”。 契約更新見込みが条件になるケースは、人事からの雇用見込み記載が審査の決め手。
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前職や関連会社の“出戻り”はNG。 経路・関係性の確認を甘く見ない。
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給与ダウンが心配なら“就業促進定着手当”も視野に。 再就職後6か月の賃金が離職前より低ければ、差額の一部が後払いで補填される制度があります。上限は「基本手当日額×支給残日数×20%」等の枠組みがあり、再就職手当の給付率との関係で運用が変わった時期もあるため、現行要件を必ず確認しましょう。
よくある落とし穴と回避策
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待期7日を満了する前に入社してしまった
→ 再就職手当の対象外になり得ます。手続→待期→就職の順を守る。 -
「支給残日数の見込み」を誤算
→ 認定を受けた“実日数”で差し引くのが原則。迷ったらハローワークで残日数の公式確認を。 -
入社形態が“1年未満の雇用見込み”
→ 条件未達。更新条項や見込み文言を内定通知・雇用契約書で確認。 -
8/1の上限改定を見落とし
→ 年度またぎの方は上限額の最新リーフレットで自分の年齢帯の上限・下限を確認してから金額試算。 -
就職は決まったのに“申請を後回し”
→ 申請期限や添付資料不備で受給できない例は少なくない。入社が決まったら必要書類を早めに収集→提出。