突然の退職。家計の中でもインパクトが大きいのが「これからの保険料、いくらになるの?」という不安です。
じつは、雇用保険の失業手当は国民健康保険の計算に入らないうえ、倒産・解雇・雇い止めなどの非自発的失業なら“前年の給与所得を30%として扱う特例”でぐっと軽くできる可能性があります。
本記事では、国保の基本ルールを最短でつかみ、あなたのケースでどれくらい下がるのかの目安、そしてすぐにやるべき手続き(加入・軽減申請・所得申告)まで、迷わず動ける順番で解説します。
任意継続や配偶者の扶養との比較ポイントも押さえ、「最もトクな選択」を実現しましょう。
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国保の計算ルール
国保は次の合計で決まります(自治体で料率は異なります)。
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所得割:前年の「総所得金額等」から基礎控除43万円を引いた額(=算定基礎額)×料率
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均等割:加入者1人あたりの定額
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(自治体により)平等割:1世帯あたりの定額
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区分は「医療分」「後期高齢者支援金分」「介護分(40〜64歳)」に分かれ、各区分で上記を足し合わせます。
例(東京都23区の一例・大田区 令和7年度):
医療分:所得割7.71%/均等割47,300円
支援金分:所得割2.69%/均等割16,800円
介護分:所得割2.25%/均等割16,600円(40〜64歳のみ) など。
「算定基礎額」=前年の総所得金額等 − 43万円。マイナスになったら0円として扱う自治体が一般的です。
「失業手当は計算対象外」って本当?
本当です。
雇用保険の失業等給付(基本手当)は非課税で、国保の算定基礎に含めません。
自治体の計算説明でも、「雇用保険は算定基礎額に含まれない」と明記されています。
非自発的失業の“30%みなし”特例
倒産・解雇・雇い止めなど本人の責めに帰さない離職で、雇用保険の特定受給資格者・特定理由離職者に該当する65歳未満の方は、前年の給与所得を「30/100」とみなして国保の所得割を計算する特例があります(均等割はそのまま)。
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対象離職理由コード(例):11,12,21,22,31,32(特定受給資格者)、23,33,34(特定理由離職者)等。詳細はお住まいの自治体表示で確認。
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期間:離職翌日から「翌年度末」まで(失業給付の受給期間とは別枠)。
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必要書類の例:雇用保険受給資格者証(離職理由コードを確認)、本人確認書類、マイナンバー等。申請が必要です。
かんたん概算:モデルケースで年額・月額を試算
前提(例):東京都23区の料率(大田区・令和7年度)/独身・39歳(介護分なし)/世帯加入者1人
参考料率:医療分7.71%+支援金分2.69%=所得割10.40%、均等割計64,100円。
A)前年の給与収入300万円・自己都合退職(特例なし)
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給与所得(目安)
年収190万〜360万円は、おおむね0.7×年収−8万円。
→ 0.7×3,000,000 − 80,000 = 2,020,000円(国税庁の算式に基づく近似) -
算定基礎額= 2,020,000 − 430,000 = 1,590,000円(43万円控除)
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所得割= 1,590,000 × 10.40% = 165,360円
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均等割= 64,100円
年額合計 約229,460円(月あたり約19,100円)
B)同条件だが非自発的失業の特例あり
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給与所得2,020,000円 → 30%みなし= 606,000円
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算定基礎額= 606,000 − 430,000 = 176,000円(0未満なら0円)
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所得割= 176,000 × 10.40% = 18,304円
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均等割= 64,100円
年額合計 約82,404円(月あたり約6,900円)
→ 特例で月1.2万円前後安くなるイメージ
C)前年の給与収入500万円・特例なし(参考)
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給与所得(年収360万〜660万円帯は概ね0.8×年収−44万円)
→ 0.8×5,000,000 − 440,000 = 3,560,000円(国税庁の算式の簡便表現) -
算定基礎額= 3,560,000 − 430,000 = 3,130,000円
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所得割= 3,130,000 × 10.40% = 325,520円
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均等割= 64,100円
年額合計 約389,620円(月あたり約32,500円)
※実際は自治体や年齢(介護分の有無)・家族人数・各種軽減で変動します。お住まいの自治体の「料率・早見表・シミュレーター」で必ず最終確認を。
低所得世帯の均等割軽減(7割・5割・2割)
前年の世帯所得が一定以下だと、均等割(と平等割)が7割・5割・2割で軽減されます。
未就学児は均等割5割軽減も別途あります(自動適用)
(自治体例:広島市の令和7年度基準)
重要:軽減適用には「世帯主を含む所得の申告」が必要です。無収入でも申告しないと軽減が外れます。
任意継続・配偶者の扶養との比較ポイント
任意継続(前の健保を最長2年継続)は標準報酬をもとに決まり、国保より安い/高いはケースバイケース。国保は均等割の人数要素が効きます。
配偶者の健康保険の扶養は、失業手当も“収入”に含めて判定されます。
一般的に「基本手当日額が3,612円以上(60歳以上・一定の障害者は5,000円以上)」は被扶養者NGという運用例が広く見られます(待機・給付制限中は可)。
したがって、失業手当が一定額を超えると「扶養に入れない → 国保へ」という流れになります。
加入・軽減の手続き手順(チェックリスト付き)
国保加入
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退職日の翌日から14日以内を目安に、住民票のある市区町村で国保の資格取得手続き。
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持ち物:健康保険資格喪失証明書等、本人確認書類、マイナンバーなど(自治体案内に従う)。
非自発的失業の「30%みなし」特例申請
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窓口(国保担当)にて軽減申請。
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雇用保険受給資格者証(離職理由コードを確認できる面の原本)、本人確認書類、マイナンバーを持参。
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対象・期間を確認(離職翌日〜翌年度末)。
低所得世帯の軽減
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世帯主を含む所得申告を必ず提出(無収入でも)。
よくある誤解と落とし穴
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「失業手当を多くもらうと国保も上がる」→誤り。失業手当は非課税・算定対象外です。
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「特例は自動で適用される」→誤り。多くの自治体で申請が必要。
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「算定基礎額がマイナスでもそのまま計算」→誤り。多くの自治体で0円として扱う運用です。
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「被扶養者に入れるかは年収130万円だけで見る」→不十分。失業手当は“日額”基準(3,612円等)で判定する運用が一般的。