「失業保険は年収に入るの?」——家計の見直しや配偶者の扶養手続きで、ほぼ必ずぶつかる定番の疑問です。
実はこの問い、税金の世界(配偶者控除・扶養控除)と社会保険の世界(健康保険の被扶養者)で“答えが逆”になります。
税では基本手当は非課税で年収に含めないのに対し、社会保険では収入としてカウントされ、受給中は日額の基準や年収見込みの基準で扶養の可否が変わります。
知らないまま届出をしてしまうと、控除を逃したり、被扶養者から外れて保険料負担が増えたりといった“想定外のコスト”につながりかねません。
本記事では、両制度の考え方をやさしく一気通貫で整理し、今すぐ判断できるチェック手順とミニ事例まで用意。読み終えたときには、「うちは何を、いつ、どう手続きすべきか」が明確になります。
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そもそも「失業保険(基本手当)」は課税される?
雇用保険法に基づく失業等給付は非課税所得です。
所得税・住民税ともに課税されません。確定申告で所得に入れる必要もありません(他の所得がある場合は別途)。
税制上の扶養(配偶者控除・扶養控除)への影響
ポイント
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配偶者控除の要件は、配偶者の合計所得金額48万円以下(給与のみなら年収103万円以下)など。失業保険は合計所得金額に入れません。
例
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配偶者が「給与収入90万円」+「失業保険60万円受給」の場合
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合計所得金額は「給与90万円−給与所得控除55万円=35万円」。
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失業保険は非課税で合計所得に含めないため、48万円以下となり配偶者控除の判定に通ります(納税者本人の所得要件等は別途)。
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社会保険の「被扶養者」認定への影響
年収基準(見込み)で判定
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原則:年間収入130万円未満(同一世帯等の追加要件あり)
例外:60歳以上または一定の障害がある場合は180万円未満。
19歳以上23歳未満(配偶者除く)は150万円未満(2025年10月1日以降の届出から段階的適用)。
失業保険受給中の特別ルール(重要)
雇用保険の基本手当を受給中は日額基準で判定。
多くの制度運用で、基本手当日額が3,612円以上なら被扶養者になれない(または削除が必要)とされています。受給終了後は、収入見込み(年収)で再判定します。
健保の「年間収入」は今後1年間の見込みで判断し、失業等給付も収入に含めるのが原則です。
待機期間中は要件を満たせば認定可能ですが、支給が始まり日額が基準以上になると削除手続きが必要、という運用が示されています。
よくある勘違いと注意点
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「非課税=収入に含めない」は税だけの話。
社会保険の扶養は非課税でも収入として数える点が違います。 -
103万円の壁は税制用語。健保の扶養は130万円(等)基準。
税と社保で基準額・考え方が異なるため、両方を別々に確認する必要があります。 -
2025年10月以降の年収要件(150万円)に該当する年齢帯がある。
19〜23歳(配偶者除く)に関しては150万円未満が基準となる場面が出ます。届出日・判定年の扱いに注意。
ケース別チェックリスト
A. 税制上の扶養(配偶者控除・扶養控除)
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失業保険は除外して、対象者の合計所得金額を計算(給与のみなら年収−55万円)
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合計所得金額が48万円以下(給与のみなら年収103万円以下)かを確認。
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納税者本人の所得上限(配偶者控除は本人の合計所得1,000万円以下 など)もチェック。
B. 社会保険の被扶養者(健康保険)
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受給状況を確認:
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受給前・待機中→年収見込みで判定(130万円未満等)。
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受給中→基本手当の日額で判定。3,612円以上なら不可が一般。
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受給終了後→今後1年の収入見込みで再判定(130万円未満等)。
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年齢・障害の特例(180万)や19〜23歳の150万の扱いも確認。
具体例で理解する
事例1:配偶者が失業保険を月12万円受給、給与収入はゼロ
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税制の扶養:失業保険は非課税→合計所得0円→配偶者控除OK(本人の所得要件など満たす前提)。
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社会保険の扶養:受給日額換算が3,612円以上なら不可。受給終了後に年収見込みで再申請。
事例2:配偶者がパート年収100万円+失業保険を一部受給
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税制の扶養:給与の合計所得=100万−55万=45万円→48万円以下で配偶者控除OK。失業保険は不算入。
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社会保険の扶養:受給中は日額基準、終了後は年収見込み130万円未満か確認。パート収入の見込みが上がるなら要注意。
事例3:大学生(20歳)を扶養に入れたいが、アルバイト見込み140万円
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税制の扶養(扶養控除):学生の合計所得次第(基準は48万円等)
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社会保険の扶養:2025年10月以降の届出では19〜23歳は150万円未満の判定に留意。140万円見込みなら要件を満たす可能性。