失業保険(正式には「基本手当」)は、1回しか受け取れない制度ではなく、条件を満たせば2回目、3回目…と何度でも受給可能です。
ただし、2回目以降もらうためには、再就職後の被保険者期間や離職理由など、前提条件がいくつかあります。
本記事では、「自己都合退職」「会社都合退職」「再就職後に退職した場合(2回目受給)」というパターン別に、受給可能性・条件・注意点を整理して解説します。
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失業保険(基本手当)は「回数制限なし」。ただし、その都度「受給資格」を満たすこと、または前回の受給期間内の“残日数”があることが条件です。
受け取り方は「①受給期間内に再離職して再開」「②受給期間が切れて新たに受給資格を得る」「③再就職手当をもらった場合の扱い」の3パターンで整理すると分かりやすいです。
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あなたはいま「受給期間1年」の中か? → 中ならA(再開)、過ぎているならB(取り直し)。
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再就職手当は受けた? → 受けた分は残日数から差し引き。再離職で延長(残+14日)が付くケースも。
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Bの場合のカギは被保険者期間:原則12か月/特定は6か月。
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自己都合の給付制限は、2025/4/1〜原則1か月に短縮。離職日で適用が変わる。
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基本のしくみ:受給期間・待期・給付制限のキホン
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受給期間:離職日の翌日から原則1年間(病気・出産・開業準備などは特例で延長可)。この“1年の枠”の中に、支給を受けられる所定給付日数(90〜330日など)が入っています。
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待期:手続きをしても最初の7日間は不支給(失業状態の確認期間)。
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給付制限(自己都合):2025年4月1日以降の離職は原則1か月、2025年3月31日以前の離職は原則2か月に短縮・経過措置
ポイント:この「受給期間1年」と「所定給付日数(90日など)」は別モノ。1年の枠内で、失業認定を重ねながら所定日数分を受け取ります。労働局
2回目受給の3パターン
パターンA:受給期間内に再就職 → すぐ再離職(“残日数”で再開)
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前回の離職から1年の受給期間内で、所定給付日数の残りがあるなら、その残日数で受給を再開できます(新しい受給資格を取り直さなくてOK)。
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ただし、就業手当・再就職手当でもらった分は、基本手当を“受けとったもの”として残日数から差し引き計算されます。
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さらに、再就職手当を受けた後に、受給期間内で倒産・解雇等により再離職し、当初の受給期間満了時点で残日数が生じる場合は、再離職の翌日から「残日数+14日」まで受給期間が延長されます。
パターンB:受給期間が切れた → 新たに受給資格を取り直す
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原則は「離職前2年で被保険者期間12か月以上」(1か月の定義は「賃金支払基礎日数11日以上」等)。倒産・解雇などの特定受給資格者ややむを得ない理由の特定理由離職者は「離職前1年で6か月以上」でもOK。
パターンC:再就職手当を受けたケースの“2回目”
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再就職手当は、所定給付日数の残り×(60% or 70%)を一括でもらう制度(残りが3分の1以上→60%、3分の2以上→70%)。
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そのため、次に失業したときに“前回の残り”を使い回すことは不可。あらためてBの要件(12か月/6か月)で新しい受給資格を得る必要があります。※ただしAのとおり、受給期間内の再離職で残日数があれば再開可。
自己都合/会社都合/再就職の違いを早見表で確認
区分 | 受給開始まで | 2回目の取り方 | 所定給付日数の考え方 |
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自己都合退職 | 待期7日+給付制限(2025/4/1〜は原則1か月)。2025/3/31以前は原則2か月。 | 受給期間内の再離職なら残日数で再開/期間切れなら12か月(過去2年)で取り直し | 年齢・被保険者期間で決定 |
会社都合(特定受給資格者) | 待期7日のみ/給付制限なし | 同上(再開 or 6か月(過去1年)で取り直し) | 一般より手厚い給付日数枠あり |
再就職手当を受給 | ― | 残日数は消化扱い。受給期間内の再離職は再開可/期間切れは取り直し | 手当の支給率60/70%は残日数割合で決定 |
2回目受給の手続きフロー(最短で進める手順)
A. 受給期間内に再離職した場合(「再開」ルート)
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ハローワークへ:前回の受給資格者証・離職票(または再離職証明書)を持参。
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求職申込み&失業認定の再開:前回の残日数をもとに再開。就業手当・再就職手当を受けていれば相当日数分を控除。
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(該当時)受給期間延長の扱い:再就職手当後の再離職で残日数が当初の満了をまたぐ場合は、「残+14日」の延長。
B. 受給期間が切れてから失業した場合(「取り直し」ルート)
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離職票1・2/被保険者証/本人確認/マイナンバー/通帳などを準備。
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求職申込み→受給資格決定:原則2年で12か月、該当すれば1年で6か月の被保険者期間で審査。
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待期7日、(自己都合は)給付制限を経て受給開始。
よくある落とし穴と対策(2025年ルール変更にも注意)
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自己都合の給付制限が短縮:2025年4月1日以降の離職は原則1か月。自分の離職日で適用が変わるので要確認。厚生労働省
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「受給期間1年」を過ぎると残日数は消滅:再就職→短期離職の際は、元の離職から1年のカウントに注意。労働局
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再就職手当の条件:残日数が所定給付日数の1/3以上(2/3以上で給付率アップ)、就職前日までの失業認定を受けている、前の会社に戻らない等。1か月以内は紹介就職の要件にも注意(給付制限のある人)。ハローワーク
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被保険者期間の数え方:11日以上(または所定時間基準)働いた月を1か月として通算。短期勤務でも合算できる。厚生労働省
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開業・専念の特例:離職後の開業・準備期間は受給期間に算入しない特例(最大3年)があり、2回目の受給設計に影響。