「扶養内のパート・アルバイトでも、私に傷病手当金は関係あるの?」——答えはYES。
条件を満たせば、雇用形態にかかわらず生活を支える給付を受けられます。
本記事では、受給の可否を左右する“被保険者/被扶養者”の違いから、待期や金額のしくみ、手続きの手順までをやさしく解説。
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パート・アルバイトでも傷病手当金はできます。
ただし勤務先の健康保険に「被保険者」として加入していることが大前提です(協会けんぽ・健保組合いずれも同じ考え方)。
雇用形態(正社員/パート/アルバイト)は問いません。協会けんぽ
家族の健康保険の“被扶養者”のままの人は対象外です。
被扶養者は“自分自身が健康保険の被保険者”ではないため、傷病手当金の支給対象になりません。
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傷病手当金の基礎知識(対象・条件・金額・期間)
対象になる病気・けが
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業務外の病気・けがで就労不能になった場合が対象(労災は別制度)。
受給の4条件(どれも満たす)
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業務外の病気・けがで療養中
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医師の意見等により“労務不能”と判断される
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連続3日の待期を完成し、4日目以降の休業がある
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休業中に給与の支払いがない(または少ない)こと
※給与が一部出る場合は差額支給。
受給額(原則)
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日額 =(直近12か月の平均標準報酬月額 ÷ 30)× 2/3
月額26万円なら 26万÷30×2/3 ≒ 5,780円/日。
支給期間
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支給開始日から通算1年6か月(途中で働いた期間はカウントしない“通算”ルールに2022年改正)。
参考補足:国民健康保険には原則として傷病手当金はありません。(一部の時限的・自治体独自の例外を除く)
「扶養内勤務」の落とし穴:税法上の扶養と“社会保険の被扶養者”は別モノ
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「年収〇万円の“扶養内”」は税法上(配偶者控除・配偶者特別控除)の話と、社会保険上(被扶養者)の話が混同されがち。
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社会保険の被扶養者のままだと、傷病手当金は受けられません。自分が勤務先の健康保険に加入=被保険者になると対象になります。
2024–2025年の適用拡大:短時間労働者でも社保加入になりやすく
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2024年10月から、従業員数51人以上の企業でも、一定要件を満たす短時間労働者(週20時間以上・月収8.8万円以上・2か月超の雇用見込み・学生以外など)が厚生年金・健康保険の適用対象になりました(段階拡大)。
→ パート・アルバイトでも社保加入=傷病手当金の可能性が広がったということです。
ダブルワーク(かけ持ち)・副業の場合の考え方
複数の適用事業所で同時に雇用される場合、報酬を合算して標準報酬月額を決定し、主たる事業所を選んで手続きをします(年金機構の正式ルール)。
したがって、かけ持ちで合算すると要件を満たし社保加入→被保険者となるケースもあります(詳細は年金事務所・健保へ要確認)。
受給までの手続き:必要書類と進め方
必要書類
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健康保険傷病手当金支給申請書(協会けんぽ:全4ページ/①②本人、③事業主、④医師)
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本人確認書類・マイナンバー等(提出方法により必要)
進め方(番号順)
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主治医に相談し、一定期間の就労不可見込みを確認する(“労務不能”の医学的判断が鍵)。
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待期3日を含め、4日目以降の休業が生じたら、会社と連携して申請準備。
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申請書①②を本人記入、③を事業主が記入、④を医師に記入してもらう。
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月ごとに対象期間を区切って提出(健保組合によって運用差あり。協会けんぽは案内に従う)。
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賃金支払いの有無や他給付(障害年金・出産手当金・労災等)との調整に注意。
退職予定がある人は要注意:
退職後も“継続給付”が可能なケースがあります。①被保険者期間が通算1年以上、②退職時点で受給中または受給条件を満たす(退職日に出勤していない等)など。通算1年6か月の範囲で継続できます。
よくあるNGと対策(ケース別Q&A)
Q1. 夫の“扶養内”でパート。自分は会社の社保に入っていない → もらえる?
A. 不可。 被扶養者は対象外。受給したいなら自分が被保険者になる必要があります(勤務条件等で社保加入)。
Q2. 休んでいる間に会社から少し給与が出た → どうなる?
A. 差額支給。給与日額が傷病手当金日額を上回る日は不支給。
Q3. 国民健康保険だけ加入している自営業的パート → もらえる?
A. 原則なし。(自治体の特例を除く)
Q4. 途中で部分復職→再度休職したら“1年6か月”はどう数える?
A. 通算方式(2022年改正)。休んだ日数を合計して最長1年6か月まで。
受給額のカンタン試算例
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直近12か月の平均標準報酬月額が26万円の場合
日額=26万÷30×2/3 ≒ 5,780円
仮に20日休業なら、約115,600円(賃金との調整前)。
実額は、標準報酬の端数処理・支給日数・給与の有無等で変わります。賃金が出ている場合は差額になります。
受給可否の“判断フローチャート”
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自分が勤務先の健康保険の被保険者?
→ YES:次へ / NO(=家族の被扶養者等):受給不可。 -
業務外の病気・けがで医師が労務不能と判断? → YES:次へ。
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連続3日待期+4日目以降も休業? → YES:次へ。
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その期間に給与が出ていない(または少ない)? → YES:受給見込み。
実務のワンポイント
2024年10月の適用拡大で、パート・アルバイトの社保加入ハードルは下がっています。
以前は“扶養内=受給不可”だった方も、週20時間以上+月8.8万円以上等で加入対象になっている可能性があるため、自分の就労条件と企業規模を確認しましょう。
かけ持ち中なら、報酬合算の特例の対象かを年金事務所で確認するのがおすすめです。