「高年齢求職者給付金」と「失業保険(基本手当)」――どちらが“得”かは、仕組みの違いを知るだけで答えが見えてきます。
カギは、いくら(基本手当日額)×何日というシンプルな掛け算。
65歳を境に受けられる制度が変わり、前者は30日または50日の一時金、後者は90~330日の分割支給が基本です。
つまり、総額は日数が長い失業保険の方が有利になりやすい一方、65歳以上の方は高年齢求職者給付金が原則――“選べない分岐”であることを押さえたうえで、自分の賃金日額と上限額を当てはめて冷静に見積もるのが近道です。
この記事では最新の上限・下限を前提に、あなたの手元の給与明細から3ステップで概算を出し、ケース別に総額感をつかめるように整理しました。
制度を味方につけて、失業期間のキャッシュを最大限ブレなく確保しましょう。
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高年齢求職者給付金と失業保険は選べる? どちらが得?
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原則“選べません”。
離職時に65歳以上なら「高年齢求職者給付金(30日分または50日分の一時金)」、65歳未満なら「失業保険(基本手当)」です。制度側で分かれます。 -
金額だけ比較すると、総額は通常“基本手当の方が多くなりやすい”。
これは「高年齢求職者給付金」が最大でも50日分の一括に対し、基本手当は90~330日(一般は90~150日、倒産・解雇等は最大330日)と受給日数が桁違いだからです。 -
ただし65歳以上の方は高年齢求職者給付金一択なので、「どちらが得か」より“何日分×1日あたりいくら”かを正しく押さえるのがコツです。
用語整理:賃金日額・基本手当日額・所定給付日数
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賃金日額:離職前6か月の賃金総額÷180で求める“1日あたりの平均賃金”。(賞与など臨時賃金は除外)
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基本手当日額:賃金日額×給付率(概ね50~80%、60~64歳帯は45~80%)。年齢帯ごとに上限・下限あり。
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所定給付日数:基本手当をもらえる総日数(離職理由・年齢・被保険者期間で決まる)。一般は90~150日、倒産解雇等は最大330日、就職困難者は最大360日。
最新の上限/下限まとめ
2025年8月1日から基本手当日額と賃金日額の上限・下限が引き上げられています(以下は主なポイント)。
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基本手当日額の下限(全年齢):2,411円
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年齢帯別・基本手当日額の上限
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29歳以下:7,255円
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30~44歳:8,055円
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45~59歳:8,870円
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60~64歳:7,623円
※65歳以上で高年齢求職者給付金を受ける場合も、60~64歳帯の表を適用します。
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メモ:賃金日額(平均賃金)にも年齢別の上限があり、29歳以下14,510円/30~44歳16,110円/45~59歳17,740円/60~64歳16,940円。
「高年齢求職者給付金」と「失業保険(基本手当)」の違い
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対象年齢
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高年齢求職者給付金:離職時65歳以上。
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基本手当:離職時65歳未満。
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支給の仕方
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高年齢求職者給付金:被保険者期間に応じて30日分 or 50日分を一括。
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基本手当:所定給付日数(90~330日など)の範囲で28日単位等で支給。
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必要な被保険者期間
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高年齢求職者給付金:離職前1年に通算6か月以上。
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基本手当(一般):通常は離職前2年に通算12か月以上(特定理由離職は6か月以上も可)。
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受給期間の期限
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高年齢求職者給付金:離職日の翌日から1年(期限短いので要注意)。
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かんたん試算ステップ(自分の見込み額を出す)
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賃金日額を出す
直近6か月の賃金合計(賞与等の臨時を除く)÷180。 -
基本手当日額を出す
年齢帯の給付率表で賃金日額×(50~80%※60~64歳は45~80%)。ただし上限に注意。 -
総額を出す
- 65歳未満(基本手当):基本手当日額×所定給付日数(90~330日など)。
- 65歳以上(高年齢求職者給付金):基本手当日額×30日または50日(被保険者期間で判定)。
比較シミュレーション(3パターン)
前提:2025年8月1日以降の最新上限・下限を適用。給付率はリーフレットの年齢帯のルールに基づき、上限に掛かる場合は上限で打ち止めにしています。
A)月収が高めで“上限に達する”ケース
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想定:60~64歳、賃金日額が高く基本手当日額が上限に達する水準
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基本手当日額(上限):7,623円。
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65歳以上で離職(高年齢求職者給付金・被保険者1年以上)
→ 7,623円×50日=381,150円(一括) -
65歳未満で離職(自己都合・被保険者20年以上)
→ 所定給付日数150日 → 7,623円×150日=1,143,450円
結果:金額だけ見れば、基本手当の方が約3倍の総額。違いは“日数”に起因。
B)ミドルレンジ(賃金日額=12,000円、65歳以上)
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年齢帯は65歳以上でも計算は60~64歳の表を適用。賃金日額が11,800円超なので給付率45%。
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基本手当日額:12,000円×45%=5,400円(上限7,623円未満なのでそのまま)。
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被保険者1年以上 → 5,400円×50日=270,000円(一括)
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被保険者1年未満 → 5,400円×30日=162,000円(一括)
結果:65歳以上は最大でも50日分。一方、65歳未満なら同じ日額でも90~150日以上になり得ます。
C)下限付近のケース(低賃金帯)
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基本手当日額の下限は2,411円(全年齢共通)。
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65歳以上・1年以上 → 2,411円×50日=120,550円
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65歳未満・一般90日 → 2,411円×90日=216,990円
結果:低賃金帯でも、日数の差で基本手当の方が総額は大きくなりやすい。
受給で損しないための注意点(待期・給付制限・期限)
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待期と給付制限
自己都合は待期7日+原則1か月の給付制限(2025年4月改正で短縮。5年で自己都合3回以上は3か月)。教育訓練の実施で給付制限解除もあり。 -
高年齢求職者給付金の“受給期限は1年”
離職翌日から1年が期限。求職申込みが遅れると30/50日満額に届かないおそれ。早めの手続を。 -
高年齢求職者給付金の支給日数の決まり方
被保険者期間1年未満=30日分/1年以上=50日分。 -
再就職手当などの活用
基本手当は、早期再就職で再就職手当等の加算も(条件あり)。総合的に見ると、早く決まれば一時金で有利になる局面もあります。