将来いくら受け取れるのか――老後資金を考えるうえで一番知りたい答えを、企業が約束してくれるのが「確定給付年金(DB)」です。
仕組みはシンプルでも、受け取り方や税金、転職時の手続きなど、押さえるべきポイントは意外と多いもの。
本記事では、基礎から最新事情までをやさしく解説し、あなたのライフプランに“確実さ”を足すヒントをお届けします。
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DBは「給付額が確定」している企業年金で、運用・不足リスクは企業が負担。
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受け取りは年金/一時金の選択があり、税務はそれぞれ別ルール(年金=公的年金等の雑所得/一時金=退職所得)。
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転職・退職時の“持ち運び”は通算企業年金やiDeCo、企業型DC/DBなどの仕組みで対応可能。期限や手続きを忘れずに。
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制度・税制は随時アップデートされるため、厚労省・国税庁・企業年金連合会の最新情報を確認するのが安心です。
本記事は公的資料(厚生労働省・国税庁・企業年金連合会 等)に基づき、最新の要点を抽出して分かりやすく整理しています。
制度や税務の最終判断は、勤務先の年金担当・基金・税務署へ必ずご確認ください。
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確定給付年金(DB)の基本
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将来の給付額(年金・一時金など)があらかじめ約束されている企業年金制度。
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受け取り額は多くの場合、勤続年数や賃金水準などのルールに基づき算出されます。
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日本では厚生労働省が所管し、制度の運営や改正状況が公開されています。例えば、令和6年(2024年)以降の制度改正や制度数も公表されています。
仕組み(だれが何を負う?)
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給付の約束主体:企業(事業主)
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運用主体:年金基金や信託・保険等の受託機関
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運用リスクの負担:企業が負う(運用が想定より悪ければ企業が不足分を補います)
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加入者(従業員):規約の条件に応じて将来の給付を受け取る権利を持つ
一言でいえば、「将来いくらもらえるか」を会社が約束し、約束を守るための運用・拠出責任も会社側が負う制度です。
DBの種類(規約型/基金型)
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規約型:企業が労使合意で「年金規約」を作り、厚生労働大臣の承認を受けて実施。資産の管理・運用は信託銀行や生命保険会社等に委託。
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基金型:企業年金基金という法人を設立し、基金が資産を管理・運用・給付。
いずれも給付(もらえる額)が先に決まっている点は同じです。
DC(確定拠出年金)との違い
項目 | DB(確定給付年金) | DC(確定拠出年金) |
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何が確定? | 将来の給付額 | 積み立てる拠出額 |
運用リスク | 企業が負担 | 加入者が負担 |
受け取り見込み | 設計上見通しやすい | 運用次第で上下 |
両制度の併用 | 可能(併用導入する企業も多い) | 可能 |
※制度の基本的な位置づけと併用の可否は公的・実務資料で確認できます。 |
受け取り方(年金/一時金)と税金
受け取りのかたち
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年金方式:定期的に年金として受け取る
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一時金方式:まとまった金額を一括で受け取る(制度により選択可)
所得税の取り扱い(原則)
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年金として受け取る → 「公的年金等に係る雑所得」として課税。支払い時に所定率で源泉徴収され、公的年金等控除を使って年末・確定申告で精算します。一定条件(収入400万円以下等)では確定申告不要の取り扱いもあります。
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一時金として受け取る → 退職所得(みなし退職手当等)として課税。退職所得控除や1/2課税の計算枠組みが適用されます(「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合の源泉方法など)。
企業側の拠出(掛金)は損金算入が認められ、受給者側の課税は受け取り方で取り扱いが変わるのがポイントです。公的な税務解説で明確に示されています。
転職・退職時の「ポータビリティ」(資産の持ち運び)
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DBや企業型DC、iDeCoなど年金制度間で資産や原資を移換できる仕組みが整備されています(法改正により拡充)。
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DBからの持ち運び先:iDeCo/通算企業年金(企業年金連合会)/企業型DC/別のDB(一定条件)など。
通算企業年金(企業年金連合会)とは?
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退職時などにDB等の原資を企業年金連合会に移しておき、将来の年金として受け取れる受け皿制度。
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終身年金(原則65歳開始)、選択一時金や死亡一時金の仕組みもあります。
令和4年5月以降は、企業型DCからの移換を受けた場合でも通算企業年金の給付対象に。制度横断のポータビリティが進みました。
メリットとデメリット(利用者・企業の双方)
利用者(加入者)
メリット
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将来の受取額が見通しやすい(老後の家計設計に役立つ)
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運用は企業側が主体なので投資判断の負担が少ない
デメリット -
企業の財務や規約改定等の影響で給付見直しのリスクがあり得る
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自分の“貯まり具合”が見えにくいと感じることがある
企業(導入側)
メリット
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安定的な給付設計は人材確保・定着につながる
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掛金は税制優遇(損金算入)で資金準備しやすい
デメリット -
運用・積立不足のリスクや制度運営コストを負う
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会計・ガバナンス対応(開示・モニタリング等)が必要
なお、近年はリスク分担型企業年金の整備やガバナンス強化など、制度面の改善も進んでいます。最新の改正状況は厚生労働省がまとめています。
よくある勘違いQ&A
Q1. DBは“昔の制度”で、もう使えないの?
A. いいえ。現在も多数の制度が稼働。厚労省の公表では令和6年3月末で制度数11,794件とされています。
Q2. DBの年金は「公的年金」ではないから税金は別枠?
A. 年金として受け取る企業年金の多くは「公的年金等に係る雑所得」として処理され、公的年金等控除や源泉徴収の取り扱いを受けます。
Q3. 退職時に転職先の制度がないけど、原資はどうなる?
A. 企業年金連合会の「通算企業年金」へ移換して将来受け取る選択肢があります。
いますぐできる実務チェックリスト
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自社(または勤務先)の年金規約を確認
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給付算定式/受取方法(年金・一時金)/在職中・中途退職時の取り扱い。
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受け取り方と税金を試算
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年金受取なら公的年金等控除、一時金受取なら退職所得控除を概算。
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転職予定がある人はポータビリティの選択肢を整理
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iDeCo/通算企業年金/企業型DC/他のDBのいずれに移すか、手続期限と窓口(人事・基金・運営管理機関)を確認。
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将来の家計表にDBの入金時期を反映
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DBは支給開始年齢(例:原則65歳)や保証期間の規定あり。ライフプラン表に反映。
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最新改正の影響をウォッチ
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例:令和6年12月1日施行の関連見直し(DC拠出限度額の見直しに伴うDB対応 ほか)。
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